地中海食は妊娠糖尿病の発症リスクを下げる

生活習慣・食事・サプリメント

2017年10月28日

PLOS one

妊娠初期に地中海食にオリーブオイルやナッツ(ピスタチオ)をプラスした食べ方は妊娠糖尿病の発症リスクを下げることがスペインで実施された無作為比較対照試験で確かめられました。

妊娠初期に地中海食を取り入れることで妊娠糖尿病にかかりにくくなるのかどうかを確かめるために、スペインのClinico San Carlos病院産婦人科の妊婦を対象に無作為比較対照試験が行われました。

2418名の妊娠8-12週の糖尿病でない(空腹時血糖値が92mg/dl未満の)健康な妊婦をランダムに2つのグループにわけました。いずれのグループにも、以下のような内容の地中海食を推奨しました。

・1日に野菜を2servings以上
・1日に果物(ジュースは避ける)を3servings以上
・1日に脱脂乳製品、全粒穀物を3servigs
・1週間に豆類を2-3servings
・魚を多く、赤肉や加工肉は少なく。
・精製穀物や調理済食品、清涼飲料水、ファーストフードはとらない

また、1日に30分のウォーキングも推奨しました。

そして、一方のグループ(介入群)には栄養士から1時間の講義を受け、1日40mLのオリーブオイル(エクストラバージン)と25-30gのピスタチオをを食べる指導され、オリールオイルとピスタチオが提供されました。

もう一方のグループ(対照群)にはオリーブオイルを含む油脂やナッツの摂取を制限するように指導されました。

そして、いずれのグループの妊婦も妊娠24-28週と36-38週、そして、分娩時にラフスタイルのチェックと検診を受けました。

874名(対照群:440名、介入群:434名)の妊婦が試験を完了しました。妊娠24-28週、妊娠36-38週での地中海食スコア(地中海食にどれだけ近いをスコア化したもの)は対照群に比べて介入群が有意に高く、介入群の妊婦のほうが地中海食にそった食べ方を実行していました。そして、妊娠24-28週での妊娠糖尿病に発症した妊婦は対照群で103名(23.4%)、介入群で74名(17.1%)と介入群のほうが有意に少なく、地中海食+オリーブオイル+ピスタチオ食は妊娠糖尿病リスクの27%の低下と関連し、影響を及ぼす因子の補正後でも25%の低下と関連しました。

また、介入群では、妊娠糖尿病に発症してもインスリン治療の割合が低く、低出生体重児も少ないことがわかりました。

このことから、地中海食+オリーブオイル+ピスタチオ食は妊娠糖尿病にかかりにくくする可能性があることがわかりました。

コメント

妊娠糖尿病の患者数は世界的に増加しており、日本でも例外ではありません。妊娠糖尿病は妊娠するまでは健康であった女性が妊娠後に初めて糖の代謝異常が発見される病気です。

妊娠糖尿病学会によりますと、従来の診断基準では、日本での妊娠糖尿病の頻度は2.92%でしたが、2010年7月に大規模な診断基準の変更があったため、妊娠糖尿病の頻度は12.08%と4.1倍に増えたとのこと。妊娠糖尿病のリスク要因の1つに年齢があり、35歳以上になると発症リスクが高くなるとされていますので、現在の晩産化時代には妊娠糖尿病の予防がとても大切になってきています。

今回の研究では妊娠が判明してからの地中海食+オリーブオイル+ピスタチオ食で妊娠糖尿病の発症リスクが低下したことがわかりました。

妊娠前から以下のような食べ方を心がけることをお勧めします。

・野菜、果物の摂取量が多く食べる。
・ご飯は玄米、パンは全粒粉パンを。
・脂質は一価不飽和脂肪酸が豊富なオリーブオイルや菜種油を中心に使う。
・ナッツ類、ベリー類、豆類を多く。
・魚、鶏、乳製品を少量から中量、赤身肉の摂取は少なく。
・卵は週4回以下。

ざっくりと言えば、典型的な和食に野菜や果物の量を2-3倍にし、玄米食にするイメージです。