クリスチャン・メディカル大学の研究グループは、2011年から2015年に実施された1030周期の体外受精や顕微授精の治療成績と男性パートナーの禁欲期間の関係を後ろ向きに検討しました。
禁欲期間が2〜7日間をグループⅠ、8日間以上をグループⅡとし、グループⅠは、さらに、2〜4日間のグループⅠaと5〜7日間のグループⅠbにわけました。
グループ別の治療成績は以下の通りでした。
出産率、着床率、妊娠率とも、禁欲期間が短いほうが成績がよく、出産率はグループⅠaは36.1%で、よりの短い(2〜4日間)ほうが高いことがわかりました。
禁欲期間が8日以上になるとそれ以下に比べて治療成績が低下することがわかりました。
コメント
男性の禁欲期間と精液検査結果やパートナーの治療成績との関係についてはこれまでもいくつかの研究報告がなされていましたが、ART治療成績では初めての研究とのことです。
今回の研究結果から言えることはART治療に臨む際の男性の禁欲期間は4日以下にするのがよいということになります。
ただし、男性不妊患者のカップルを対象にした過去の研究では2日以下のほうがよいという報告もあり、男性不妊患者のほうが禁欲期間の影響を受けやすいのかもしれません。
禁欲期間が長くなることで古い精子が消滅する際に活性酸素が発生し、それによるダメージでDNA損傷率が高くなることが原因と考えられているようです。
いずれにしても男性パートナーは頻繁に射精するほうがよいようです。