ハイファ大学の研究者らは、妊娠前後の母親の葉酸やマルチビタミンサプリメント摂取と児のASDsリスクの関係を調べるべく、2003年1月から2007年12月に生まれたイスラエル人の子ども45,300名を対象に研究を実施しました。
子どもの出生時から2015年1月26日までに1.3%にあたる572名がASDsと診断されました。非ASDsの対照グループとして、全体の33%にあたる子どもをランダムに抽出し、妊娠前や妊娠中の母親のサプリメント摂取状況とASDsの発症リスクの関連を解析しました。
妊娠前に葉酸、もしくは、マルチビタミンを摂取していた母親の子どものASDs発症リスクは摂取していなかった母親の子どもに比べて61%低く、妊娠中に葉酸、もしくは、マルチビタミンを摂取していた母親の子どものASDs発症リスクは摂取していなかった母親の子どもに比べて72%低いことがわかりました。
同様に、妊娠前の葉酸サプリメントは44%、妊娠中の葉酸サプリメントは68%の発症リスク低下と、さらに、妊娠前のマルチビタミンは64%、妊娠中のマルチビタミンは65%のリスク低下が有意差をもって認められました。
これらの結果から、妊娠前や妊娠中の母親の葉酸やマルチビタミンサプリメント摂取はASDsの低リスクに関連することがわかりました。
コメント
これまで妊娠前や妊娠中の母親の栄養状態が出生児の精神疾患リスクに関連するという研究報告がなされていますが、昨年から、葉酸やビタミンDのサプリメント摂取が自閉症リスクに関連するという研究報告がいくつかなされています。
今回のイスラエルの研究では母親のサプリメント摂取を妊娠前と妊娠中、葉酸とマルチビタミンにわけて解析していますが、その結果、妊娠前、妊娠中、葉酸だけ、マルチビタミンだけでもASDsのリスク低下に関連したとのことです。