Hospital Ramón Y Cajal 病院の研究者らは、肥満男性のビタミンやミネラル不足が精子をつくる働きに影響する可能性を調べるために、中等度から重度の肥満男性30名と非肥満男性10名を対照群として、BMI(体格指数)やホルモン、血中微量栄養素(亜鉛、銅、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンB12、葉酸)の濃度を測定し、精液所見との関連を解析しました。
精液所見では肥満男性30名のうち、47%にあたる14名で基準を下回りました。33%が精子運動率が低い精子無力症、27%が精子濃度が低い乏精子症でした。
精液所見が基準を下回った肥満男性では非肥満男性に比べて葉酸の血中濃度が有意に低く(p = 0.005)、血中エストラジオール値(p = 0.015) と銅 (p = 0.033)が高いことがわかりました。
また、精液量は、BMI ( r = -0.378, p = 0.016) や血中エストラジオール値(r = -0.328, p = 0.041) と負の相関を示しました。
さらに、総精子数は、BMI(r = -0.428, p = 0.006)や血中エストラジオール値 (r = -0.507, p = 0.001) と負の相関を示し、血中葉酸濃度 (r = 0.356, p = 0.026)、やビタミンA(r = 0.421, p = 0.009) と正の相関を示しました。精子運動率は、BMI (r = -0.433, p = 0.005)や血中エストラジオール(r = -0.475, p = 0.002)、銅(r = -0.416, p = 0.012) と負の相関を、 血中葉酸 (r = 0.522, p = 0.001) やビタミンA(r = 0.350, p = 0.034) とは正の相関を示しました。
以上の結果から肥満や葉酸の低値は精子濃度や運動率低下のリスクと関連することがわかりました。
コメント
肥満男性では肥満でない男性に比べて精液所見が基準値を下回るリスクが高いことが知られています。そのメカニズムにはホルモンをはじめ、さまざまな要素が関与していると考えられています。
これまでの研究では抗酸化ビタミンや亜鉛、葉酸との関連が多く報告されています。今回の研究では葉酸やビタミンAがポジティブに、銅がネガティブに関連したとの報告がなされています。
亜鉛との関連性は見出されなかったとのことですが、亜鉛の吸収阻害に働く銅がネガティブに関連していたとのこと。
肥満でも、肥満でなくても、お子さんを望まれる男性はバランスのよい食事を心がけるに越したことはありません。