モントリオール大学の研究者らは、妊娠中のビタミンD補充の胎児や新生児の健康へも有用性や安全性について、最終的な結論が出ていないことからシステマティックレビュー&メタアナリシスを実施しました。
5405名を対象とした24のRCTで得られたデータを解析した結果、妊娠中のビタミンDサプリメントは胎児、もしくは、新生児死亡や先天異常を増やすことなく、SGA児を出産するリスクが28%低下しました。
また、妊娠前からビタミンDサプリメントを摂取した母親の新生児は、25(0H)Dやカルシウムレベルが高く、出生時や3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、そして、12ヶ月時点の体重も大きいことがわかりました。
さらに、摂取量でみると、1日に2000IU以下のビタミンDサプリメントは胎児や新生児死亡リスク低下に関連した一方で、1日に2000IU以上では有意な低下はみられませんでした。
このことから妊娠中のビタミンDのサプリメント補充は、安全で、胎児や新生児の成長に有用であることが示唆されました。
コメント
ビタミンDはビタミンとされながら、魚やキノコなどの食品から摂取していますが、必要な量のほとんどは紫外線にあたることで、体内でコレステロールからつくられています。
そのため、食生活の内容や紫外線対策によって、ビタミンDが不足、欠乏してしまいます。最近、不妊治療クリニックや産科で血中のビタミンDの指標とされる25(0H)Dを測定することが多くなっていますが、その結果をみると、ほとんどの女性で不足していると言っても過言ではないようです。
昨年、ビタミンDの充足度と高度生殖補助医療の治療成績の関連についてメタ解析の結果が報告され、ビタミンDが充足している女性は不足、或いは欠乏している女性に比べて高度生殖補助医療(ART)の出産率が高いことがわかりました。
そして、妊娠中のビタミンDの補充が赤ちゃんの健康にプラスに働くのか、安全なのか、メタ解析が実施され、報告されました。
結果は、胎児や新生児の成長にプラスになるかもしれないというものでした。
妊娠前、妊娠中の葉酸のサプリメントが子どもの神経管閉鎖障害などの先天異常の発症リスクを低くすることはエビデンスが確立されていますが、ビタミンDについては、今後のさらなる研究による検討が必要ではありますが、ビタミンDを充足させておくこいは妊娠する力や子どもの健康にプラスに働く可能性があるようです。