ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、大規模前向き研究、Nurses' Health StudyⅡ(看護師健康調査)に登録している女性看護師81,908名を対象に、1991年から2013年まで4年ごとの食事調査を実施し、赤身肉や鶏肉、魚の摂取頻度と量を調べました。
腹腔鏡検査で子宮内膜症と診断されたのは3,800人でした。
肉や魚の摂取量と子宮内膜症の発症リスクの関連を解析した結果、1日に赤身肉を2人前以上食べる女性は週に1人前以下の女性に比べて子宮内膜症の発症リスクが56%高く、特に、加工していない赤身肉で最も強い関連がみられ、また、不妊症と診断された女性では発症リスクの上昇は21%だったのに対して、診断されなかった女性では52%と、特に不妊症と診断されなかった女性で発症リスクが高いこともわかりました。
その一方で、鶏肉や魚、貝類、卵の摂取量は関連しませんでした。
このことから、赤身肉の摂取は子宮内膜症のリスク要因であることが示唆されました。
コメント
子宮内膜症とは子宮内膜以外のところに、子宮内膜ができてしまう病気です。
食事の影響という観点から言えば、動物性脂肪の摂取が女性ホルモンを含むステロイドホルモンを増やすことを介して、子宮内膜症の発症に影響を及ぼすのではないかと考えられきました。
なぜなら、子宮内膜はエストロゲンの作用によって厚くなるからです。
ところが、これまで報告されている2つの研究では肉や魚の摂取量と子宮内膜症の発症リスクの関連について相反する報告がなされていました。
そこで、ハーバード大学の研究チームは大規模で長期間に渡る前向き研究でその関連を調査しました。
結果は、赤身肉を多く食べる女性ほど子宮内膜症にかかりやすかったというものでした。
加工されていない赤身肉か、ハムやベーコンのような加工肉かでみると、加工されたいない赤身肉でより強い関連が、また、不妊症と診断されていない女性か、診断された女性かでみると、不妊症と診断されていない女性でより強い関連が、それぞれみられました。
その理由としては、加工されていない肉のほうが脂肪分を多く摂取することになり、また、赤身肉を多く食べて子宮内膜症を発症した女性はより生理痛を伴うことから、婦人科で検査を受ける機会が多かったからではないかと考えられています。