研究チームは、デンマーク全国出生コホート研究のデータから1996年から2003年に妊娠34週未満で早産した376名の母親と正規産した348名の母親の妊娠初期(妊娠9週)と中期(妊娠25週)の血漿中のEPAとDHA濃度を解析しました。
早産リスクはEPAとDHAの平均の濃度が低いほど高くなり、EPAとDHA濃度が総脂肪酸の2%になるまで早産リスクは上昇し、それ以降は高いレベルを維持しました。
EPAとDHA濃度で5つのグループにわけたところ、濃度が高い3つのグループ(EPA+DHA ≧ 1.8%)に比べて、最も濃度が低いグループ(EPA+DHA< 1.6%)は早産リスクが10.27倍、2番目に低いグループは2.86倍高いことがわかりました。
これらの結果から妊娠初期や中期のEPAやDHA濃度は早産の強いリスク要因になり得ることがわかりました。
※)環境要因が胎児に及ぼす影響を調査するために1996年からこれまでに約10万人の出生児を追跡調査している国家プロジェクト。
コメント
日本産婦人科学会では、早産とは正期産(妊娠37週0日~妊娠41週6日まで)以前の出生のことをいい、日本では妊娠22週0日~妊娠36週6日までの出産を早産とされています。
日本では早産は全妊娠の約5%で増加傾向にあり、新生児死亡の75%、長期神経学的後遺症の50%を占めることから早産予防はとても大切です。
早産のリスク要因は多くありますが自然早産の原因の多くに炎症が関与していると考えられています。
一方、オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)には抗炎症作用があり、これまで妊娠中のオメガ3脂肪酸のサプリメント補充が早産のリスク低減に関連するとの研究報告もなされています。
妊娠前から魚を食べること、もしも、魚をあまり食べない場合は、オメガ3脂肪酸のサプリメントを補充することで早産予防になる可能性があります。