インペリアルカレッジロンドンの研究チームは、不育症女性患者の男性パートナー50名(不育症群)と不育症でない女性の男性パートナー60名(対照群)の精液所見や生殖ホルモンレベル、精子DNA損傷率を比較しました。
その結果、精子運動率や前進精子運動率、正常精子形態率はいずれも対照群に比べて不育症群で低かったことがわかりました。
また、朝に測定した血清テストステロン値(nmol/L)は対照群に比べて不育症群のほうが15%低く (controls, 19.0 ± 1.0; RPL, 16.0 ± 0.8; P < 0.05)、血清エストラジオールは対照群に比べて不育症群で16%低い (controls, 103.1 ± 5.7; RPL, 86.5 ± 3.4; P < 0.01)ことがかわりました。
一方、精液中の活性酸素種は対照群に比べて不育群のほうが4倍高く(対照群:2.0 ± 0.6; 不育症群, 9.1 ± 4.1; P < 0.01)、精子DNA損傷率は2倍高い( (対照群, 7.3 ± 1.0; 不育症群, 16.4 ± 1.5; P < 0.0001)ことがわかりました。
これらの結果からパートナーが不育症女性患者である男性は生殖内分泌機能が低下し、精液中の活性酸素種の発生量や精子DNA損傷率が上昇していることが示唆されました。
コメント
妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して結果的に子供を持てない場合、不育症と呼びます。一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症とし、その原因を調べます。
従来、不育症の原因やリスクファクターは、すべて女性にあると考えられてきましたが、最近、不育症の女性の男性パートナーの精子の質が低いとの研究報告がなされています。
そこで、今回の研究が行われました。
不育症女性患者の男性パートナーの精子にも目を向けることが大切かもしれません。