中国全土の妊娠時の異常の発生率低減を目的とした、中国政府機関によるコホート研究、NFPCP(the National Free Pre-conception Check-up Projects)のデータを用いて第一子の妊娠を希望するカップルの血圧と妊娠しやすさとの関係が調べられました。
2,234,350組の第一子の妊娠を希望するカップル(女性の年齢:20-49歳)の血圧を測定し、正常(120以下/80mmHG以下)、前高血圧(120-139/89-89mmHG)、高血圧(140以上/90mmHG以上)の3つのグループに分け、1年間、もしくは、妊娠成立まで追跡し、妊娠までに要した期間から算出した妊娠率を比較しました。
その結果、前高血圧と高血圧だったのは女性で、それぞれ、24.75%、1.26%、男性では、それぞれ、49.75%、3.84%でした。調査期間中に798,610組のカップルが妊娠、その内の56.6%は最初の3周期で、83.04%は6周期で妊娠に至っており、12周期の全体の累積妊娠率は41.95%でした。
妊娠率は高血圧の女性で33.9%、前高血圧の女性で41.61%と、正常な女性の42.23%に比べて有意に低く、高血圧の女性の調整後の累積妊娠率は正常な女性に比べて21%(FOR, 0.79; 95% CI, 0.78-0.81)低いことがわかりました。
また、男性パートナーが前高血圧だと女性の累積妊娠率に有意な差はみられまでんでしたが、高血圧の場合は有意に低く、男性パートナーが高血圧の女性の調整後の累計妊娠率は男性パートナーの血圧が正常な女性に比べて累計妊娠率は11%(for, 0.89; 95% CI, 0.88-0.90)低いことがわかりました。
カップルの男女がどちらも高血圧の女性の累積妊娠率はそうでないカップルの女性と比べて27%(FOR, 0.73; 95% CI, 0.69-0.77)低く、カップルの女性だけが高血圧である女性の累積妊娠率はそうでないカップルの女性と比べて19%(FOR, 0.81; 95% CI, 0.77-0.85)、カップルの男性だけが高血圧である女性の累積妊娠率はそうでまいカップルの女性と比べて6%(FOR,0.94; 95% CI, 0.92-0.95)低いことがわかりました。
これらの結果からカップルの高血圧は妊娠に至るまで時間がかかることが示唆されました。
コメント
200万組以上の第一子の妊娠を希望するカップルを対象とした中国の大規模前向きコホート研究「NFPCP(the National Free Pre-conception Check-up Projects)のデータを用いて、空腹時血糖値と妊娠率の関係に続いて、高血圧と妊娠率の関係を調査しています。
高血圧もまた、妊娠するのにマイナスの影響を及ぼしている可能性があることがわかりました。カップルの女性だけでなく、男性パートナーが高血圧の場合でも累積妊娠率が有意に低下し、カップルの男女とも高血圧の場合は妊娠するまでに最も時間がかかったとのこと。
年齢が高くなるほど高血圧が増えます。
そのメカニズムは明確ではないとしていますが、適正な血圧を維持は大切なようです。