西安交通大学の研究者らは、出産後12ヶ月以内の女性7307名を対象に、食事からの葉酸とサプリメントによる葉酸、葉酸総摂取量を4つの期間(妊娠前3ヶ月から妊娠迄、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期)に分けて調査し、SGA発症リスクとの関係を解析しました。
その結果、妊娠初期に葉酸サプリメントを摂取していた母親の胎児のSGA発症リスクは全く摂取していなかった母親に比べて22%低かったことがわかりました。一方、妊娠中期、もしくは、後期の葉酸サプリメントを摂取していた母親の胎児のSGA発症リスクは全く摂取していなかった母親に比べて変わりはありませんでした。
また、妊娠初期の葉酸サプリメントの摂取期間と胎児のSGA発症リスクの関係をみてみると、全く摂取していなかった場合に比べて、60日以上摂取してた場合は発症リスクは22%、60日未満の摂取では20%、それぞれ低下し、摂取期間が10日長くなるごとに発症リスクは3%低下し、長く摂取するほうがリスク低減作用が大きいことがわかりました。
また、妊娠期間中の葉酸の総摂取量(食事とサプリメントからの合計摂取量)で3つのグループの分けて、SGA発症リスクを比較したところ、総摂取量が最も多かったグループは最も低かったグループに比べてSGA発症リスクが23%低かったことがわかりました。
これらのデータから、妊娠初期の葉酸サプリメントの摂取や妊娠期間を通して、食事やサプリメントから十分な葉酸を摂取することがリスク低下につながる可能性がありことがわかりました。
コメント
SGAとは、small-for-gestational-ageの頭文字で、同じ在胎期間(最後の正常月経の第1日目から分娩までの期間)で生まれた新生児の体重が軽いほうから10%の新生児を、在胎不当過小児や子宮内発育遅延と呼んでいます。因みに低出生体重時は出生時体重が2,500g未満の新生児のことです。
葉酸のサプリメント摂取はSGAのリスク低減に関連するということですが、サプリメントの摂取期間でみれば妊娠前、妊娠3ヶ月の摂取で有意に低下しましたが、中期や後期の摂取では低下と関連していません。また、摂取期間が長いほどリスク低減効果が大きいことから、サプリメントは妊娠前から最低でも妊娠3ヶ月まで、出来れな妊娠期間中は継続することが望ましいと言えます。