食生活のパターンが男性の精子の質に影響を与えることはこれまで知られてきましたが、精子無力症と摂取する脂肪や脂肪酸の種類や量との関連については、まだ明らかになっていない部分が多くありました。
この研究は、2020年6月から2020年12月にかけて、中国の瀋陽医科大学病院で精液検査を受けた1,130人の男性を対象として行われ、食事からの脂肪や脂肪酸の摂取量が精子の動きにどのように影響するかを調査しました。
研究では、精子運動率が40%未満の男性と、40%以上の男性に分け、普段の食事からの脂肪や脂肪酸の摂取量との関連を調べました。
結果、植物性脂肪の摂取量が多いほど、精子無力症のリスクが低くなる傾向があり、この傾向は、その摂取量が増えるにつれてより顕著になることが示されました。
その一方で、動物性一価不飽和脂肪酸の摂取量は、精子無力症のリスクの上昇と関連があり、さらにこの傾向は摂取量が増えるにつれてより顕著であることが示されました。
またこれに加えて喫煙との関連を調べた結果、動物性一価不飽和脂肪酸の摂取と精子無力症のリスクの関連が、喫煙によってより強められる作用がみられたとのことです。
全体として、植物性脂肪の摂取が男性不妊症のリスクを低下させる一方で、動物性脂肪および脂肪酸の摂取がリスクを増加させる可能性が示唆されました。
コメント
植物性脂肪の摂取が多いほど精子無力症になりにくく、動物性一価不飽和脂肪酸の摂取が多いほど精子無力症になりやすいことが示唆されました。また喫煙も、その傾向を強めるようです。
動物性一価不飽和脂肪酸(MUFA)は赤身肉や超加工食品、動物油に多く含まれるパルミトレイン酸、ステアリン酸、アラキドン酸などがあります。