乳酸菌サプリメントを摂取しても健康な腟内環境は安定している

生活習慣・食事・サプリメント

2024年04月09日

Microorganisms 2023; 11: 499.

乳酸菌サプリメントは、子宮内や腟内の細菌環境が良好でなかった場合に使用されますが、健康な腟内環境を持つ女性が乳酸菌サプリメントを摂取した場合でも、その細菌環境にマイナスの影響は確認されませんでした。

近年、子宮内のフローラ(さまざまな細菌の集合体)が、妊娠や着床成績にさまざまな影響をあたえることがわかってきており、不妊治療において、フローラ検査を実施する医療機関も増えています。

一方でフローラ検査を受けずに(自身の子宮内や腟内の細菌環境が良好かどうかがわからない状態で)、乳酸菌サプリメントを摂取した場合もあり、その影響については、十分な検証がなされていませんでした。

この研究では、健康な女性の腟において、サプリメントとして経口摂取した2種類の乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィルス La-14 、ラクトバチルス・ラムノサス HN001)がコロニーを形成するかどうか、また、腟内フローラや免疫に及ぼす影響について調べました。

研究では、健康な腟内環境を持つ50人の女性を対象とし、乳酸菌サプリメントを摂取するグループと、プラセボ(偽)を摂取するグループの2つにランダムに分け、参加者はそれぞれのサプリメントを2週間摂取し続け、結果を比較しました。

腟内の細菌環境は、摂取開始時、摂取から1週間後、2週間後、および3週間後(摂取終了から1週間後)の4回、腟の組織を採取することで調査されました。

結果として、健康な細菌環境は、試験期間中にも乱れることなく安定しており、乳酸菌が優勢となる良好なバランスと酸性度が保たれていました。また、免疫に関しては、乳酸菌を摂取したグループにおいて、特定の免疫マーカーの有意な低下が見られました。

結論として、健康な腟内環境を持つ女性が乳酸サプリメントを摂取しても、腟内の常在細菌叢は安定しており、安全性に関する懸念はありませんでした。また、腟内のフローラや、免疫に望ましくない変化は観察されませんでした。

コメント

ここ数年、不妊治療において、腟内のフローラがラクトバチルス非優勢の場合に、プロバイオティクス(乳酸菌サプリメント)が使用される場合があります。
一方、フローラ検査を受けずに、つまり、プロバイオティクスの必要性が明確でないままに使用されること場合もあります。

このような場合、マイナスの影響がないかが懸念されますが、この研究の結果は、そのような心配は杞憂であることを示しています。

また、乳酸菌サプリメントを摂取したグループでは特定の免疫マーカーの有意な低下が見られたということですが、これは、免疫が過剰に反応することを抑制し、炎症状態を抑える可能性があり、健康な腟内環境を維持する一助となることが示唆されます。

なお、この研究に使用されたサプリメントは、ダニスコ社の乳酸菌原料を使用したものです。