就寝前に強い光にさらされることが糖代謝障害や糖尿病の発症リスクと関連することを示す研究報告が増えていますが、妊娠中ににおける睡眠前の光曝露量(光をどれだけ浴びているかの量)が、妊娠糖尿病の発症リスクにあたえる影響についてはあまり研究がなされていませんでした。
そこで、アメリカ・シカゴの研究者らは、妊娠中の睡眠前の光曝露量と妊娠糖尿病の発症リスクとの関連を調査しました。
研究は、妊娠16-21週で、18歳以上の741名の女性を対象に行われました。
被験者は、アクチグラフモニターという装置を装着し、睡眠前3時間における光量から、大・中・小の3群に分けられ、妊娠24-28週の妊婦健診での妊娠糖尿病の発症との関係を分析しました。
妊婦健診では、全体の4.2%である、31人が妊娠糖尿病と診断され、さらに、睡眠前3時間の光曝露が多いほど妊娠糖尿病の発症率も高いことがわかりました。
具体的には、光曝露が最も少ないグループと比べて、最も多いグループでは、妊娠糖尿病を発症するリスクが約5.49倍、中くらいのグループでは約4.05倍高くなっていることがわかりました。
さらに、睡眠前3時間の光曝露量以外の要素(年齢、BMI、人種/民族、学歴、保険、雇用形態、季節、睡眠の長さ、睡眠の時間帯、睡眠の規則性、日中の光曝露)が分析結果に影響を及ぼしている可能性も考慮し、それぞれの要素についてデータの調整が行われましたが、調整後も変わらず、睡眠前の光曝露は妊娠糖尿病発症リスクと明らかな関連が見られたということです。
なお、妊娠糖尿病を発症した女性は、睡眠開始前の3時間の光照射量が大きかった一方で、発症しなかった女性と比較して、日中や睡眠中の光照射量、活動量に差はありませんでした。
以上の結果から、妊娠中期において、睡眠前に強い光にさらされることが、妊娠糖尿病の発症リスク増加と関連していることが示されました。
睡眠前に光を多く浴びることは、自律神経や体内時計に変化が起き、メラトニンというホルモンの分泌が低下することで糖代謝にマイナスの影響を与える可能性があります。
コメント
夜間に強力な人工照明を浴びることはインスリン感受性低下や糖尿病発症リスクの増加に関連しているという報告もなされていることからも、就寝前3時間はスマホやタブレットなどの強い照明を避けるのが無難かもしれません。