これまで地中海食のような食事パターンが、良好な不妊治療成績に関係するという報告がなされていますが、いずれも海外で実施された研究のものであり、国内で実施された研究では、食事パターンによって不妊治療の成績に差はなかったというものでした。
一方で、これまで東京医科大学や金沢大学、京都ノートルダム女子大学のグループが行った研究により、朝食を抜いたり、不規則な食事パターンが体内時計や生殖機能にマイナスの影響を及ぼすことが報告されています。また、朝食を抜くことは、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病、脳卒中、冠動脈性心疾患の発症リスクの増加と関連するという報告がなされています。
そこで、同グループは朝食の習慣と不妊治療成績との関連を調べました。
この研究は2022年2月から2024年1月に東京医科大学で実施されました。117名のART女性患者を対象に、食事内容に関するアンケートに答えてもらい、不妊治療開始前1年間の朝食の摂取回数を調査、またカルテから得られた年齢やBMI、喫煙、飲酒、分娩歴、AMHとその後の治療成績との関連を調べました。
その結果、朝食を食べる習慣(週に6~7回)は、食べない週間(週に5回以下)に比べて出産にまで至った女性の割合が高く、流産率は低いことがわかりました。
このことから、不妊治療を受ける女性は朝食を習慣的に食べることが不妊治療に良い影響を及ぼす可能性があることがわかりました。
コメント
朝食を習慣的に食べることがどのようなメカニズムで不妊治療成績に影響をあたえるのかは、この研究で明らかにされていません。ただし、これまでの動物研究では朝食が体内時計遺伝子や栄養代謝、生殖に密接に関連するという報告がされていることから、体内時計遺伝子が関係しているのではないかと考えられるとのことです。