妊娠中の甘い飲み物と妊娠合併症リスクの関係

生活習慣・食事・サプリメント

2024年09月20日

Nutrients 2024, 16(15), 2412

妊娠中の砂糖や人工甘味料入り飲料水の摂り過ぎは、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症や出生児の巨大児のリスが高くなることが、中国で実施された研究で明らかになりました。

砂糖や人工甘味料を使用した甘い飲料の消費量が世界的に増え続ける中、特に妊婦や出生児の健康への影響に対する懸念が高まっています。

そこで中国の研究グループは、妊娠中の女性がどのような飲み物を飲んでいるか、またそれが母親や胎児の健康に潜在的にどのような影響を及ぼすかについて調査を行いました。

研究では上海の16地区を5つのゾーンに分け、各区域から無作為に2つの町を選び、それらの町から無作為に選んだ30人の妊婦に参加してもらいました。

対面式のアンケートを実施し、過去1ヵ月間の各種飲料の摂取頻度について、摂取しない、月に1~3回、週に1~3回、週に4~7回、1日1回以上から選択してもらいました。

飲料は炭酸飲料、天然フルーツジュース、ジュース、植物性タンパク質飲料、加糖乳製品/乳製品由来飲料、乳酸菌飲料、加糖紅茶飲料(ミルクティーを含む)、そして人工甘味料入りの8種類でした。

そして調査後1年以内の出産に関する追跡調査データから、砂糖や人工甘味料入り飲料の摂取と妊娠合併症や胎児の健康との関係を分析しました。

総飲料、砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料の消費率は、それぞれ73.2%、72.8%、13.5%でした。

統計学的な処理を施した結果、甘い飲料を週3回以下飲んでいた妊婦は、全く飲んでいなかった妊婦に比べて、妊娠糖尿病のリスクが38.4%、妊娠高血圧症候群のリスクが64.2%高いことがわかりました。

また、週に4回以上摂取する妊婦では、妊娠糖尿病のリスクが154.3%、妊娠高血圧症候群のリスクが169.3%、それぞれ高くなることがわかりました。

さらに、砂糖入り清涼飲料水や砂糖が入っていなくても人工甘味料入り飲料だけに限った場合でも同様の結果となり、さらに、出生児が巨大児になるリスクが大幅に高くなることがわかりました。

このことから、上海の妊婦の甘い飲料の摂取率は73.2%と高く、甘い飲料の過剰摂取は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群の発症率の増加、巨大児発生率の増加と関連し、この傾向は特に人工甘味料入り飲料の摂取で顕著になりました。

妊娠中の飲料摂取に関する健康教育を強化することが喫緊の課題であると結論づけています。

コメント

砂糖や砂糖が入っていなくても人工甘味料入りの飲料は、糖尿病や心疾患、虫歯になる危険が高くなることから、世界的な問題になっています。

WHOの定める糖類の摂取目安量は総エネルギーの10%未満とされており、1日の摂取エネルギーを2000kcalとすると25-50gになります。

一方、コーラ1本に含まれている糖類は56.5g、カルピスウォーターで55g、サイダーで55gで1本で、これだけで一日の目安量を超えてしまいますす。意外なところでは、フラペチーノ(トールサイズ)には45gの糖類が入っています。

甘い飲料はお菓子類などに比べてついつい摂りすぎてしまう方も多いかもしれません。
自身の健康だけでなく胎児の健康のためにも、甘い飲料の摂りすぎには注意し、適量を意識するとよさそうです。