これまで、妊娠中のビタミンDのサプリメント補充は生まれた子供の4歳時点での骨密度を増加させることが、イギリスで行われた研究によって明らかになっており、今回の研究はその効果の持続性を検証するために行われたものです。
研究は英国の3つの病院において、妊娠14週未満の単胎妊娠でかつ血中のビタミンD濃度が10-40ng/mLの女性1134名を対象に行われました。
参加者をランダムに2つに分け、一方には妊娠14-17週から出産まで、1000IU/日のビタミンDサプリメントを、もう一方にはプラセボ(偽の粒)を飲んでもらいました。
そしてその母親から生まれた子供を6-7歳まで追跡調査し、骨の状態をDXAスキャン(二重エネルギーX線吸収測定法)によって測定、その数値をサプリメント群とプラセボ群で比較しました。
6-7歳時点でDXAスキャンデータの得られたのは447人でした。DXAスキャンのデータから年齢、性別、身長、体重、母乳の摂取期間、6-7歳時点でのビタミンDの使用状況を統計学的に調整し、分析を行いました。
その結果、妊娠中にビタミンDを補充したグループでは、骨ミネラル量、骨密度、骨ミネラル見かけ密度、除脂肪体重において、プラセボ群と比べて高い値を示しました。
また、妊娠中のビタミンD補充による骨への影響は、4歳と6-7歳で同様であることがわかりました。
妊娠中にビタミンDを補充(1日に1000IU)することで、プラセボと比較して、生まれた子供の骨密度や除脂肪体重を増加させることが明らかになりました。
コメント
妊娠中のビタミンDサプリメント摂取が、生まれた子供の骨の健康改善に重要である可能性が示されています。
昨年日本人の不妊治療中の女性を対象に行われた研究では、参加者の93.5%でビタミンDが不足していたという報告がなされています。
日本人は特に紫外線を避ける傾向にありますが、必要な量の多くは紫外線を浴びることで体内でつくられます。
ビタミンDの充足のためには、意識して日に当たり、また必要に応じてサプリメントでの補充も検討するとよいかもしれません。