卵巣予備能の低下は女性不妊の原因のひとつとして知られ、卵母細胞の量や質の低下、卵胞刺激ホルモン(FSH)の増加、および胞状卵胞数(AFC)と抗ミュラー管ホルモン(AMH)の減少を伴うことがわかっています。
一方、コエンザイムQ10は強力な抗酸化作用を持つことから栄養補助食品として広く知られており、不妊治療においても卵巣環境の改善や、卵母細胞の成長促進などの効果が得られる可能性が多く報告されています。
そこで中国の研究グループは、卵巣予備能が低下した女性がコエンザイムQ10のサプリメントを摂取することで、その後の体外受精や顕微授精の成績にどう影響するかを調査しました。
過去の文献の中から6つの研究を抽出し、その研究に含まれた患者1529人が対象となりました。対象者はすべて体外受精や顕微授精による不妊治療を受け、卵巣予備能が低下した女性でした。対象者のうち761人は体外受精や顕微授精の前にコエンザイムQ10サプリメントを摂取していたグループで、残りの768人はコエンザイムQ10を摂取していないグループに割り当てられ、両グループ間で治療成績を比較しました。
分析の結果、コエンザイムQ10を飲んでいたグループは飲んでいなかったグループと比べて採卵数や良好胚数が多く、妊娠率が高く、流産率が低いことが分かりました。また、ホルモンの改善や胚移植中止率の低下とも関連していることが分かりました。
これらの結果から、卵巣予備能が低下した女性が体外受精や顕微授精の前にコエンザイムQ10を補充しておくことは、不妊治療の成績に良い影響を与える可能性があることが分かりました。
コメント
この研究でコエンザイムQ10の種類や摂取量、期間等については具体的に示されてはいませんが、卵巣予備能の低下した女性が補充することで治療成績に良い影響を与える可能性が示されています。
なおコエンザイムQ10は、酸化型を摂取した場合は体内で還元型に変換されてから使われるため、還元型で摂取した方が効率が良いとされています。