女性の睡眠の質が生殖機能に及ぼす影響について関心が高まっていますが、睡眠の質と卵巣予備能の関係についての研究はほとんどなされていませんでした。
そこで中国の研究グループは、生殖年齢の女性における睡眠の質と卵巣予備能の関係について調べました。
2023年2月から2024年1月に中国杭州市の浙江大学医学院附属病院で不妊症外来や婦人科を受診した、20-40歳の外来患者1070名を対象に行われました。参加者の睡眠の質を調べるために睡眠に関するアンケート票に答えてもらい、総合スコアが5以上の場合を睡眠の質の低下と定義しました。
一方、卵巣予備能についてはAFC(胞状卵胞数)やAMH、FSHを測定し、AFCが7未満、AMHが1.1ng/mL未満、またはFSHが10mIU/mL以上のいずれかの場合に卵巣予備能低下と定義しました。そして睡眠の質と卵巣予備能の関係について分析を行いました。
その結果、睡眠の質が低下した患者は314人(全体の29.35%)で、睡眠の質が低下した女性はそうでない女性と比べてAFCやAMHが低く、FSHが高く、卵巣予備能低下の可能性が高いことが分かりました。
また睡眠の質のスコアが1増加することに伴って、卵巣予備能低下の可能性も高まることが分かりました。
さらに年齢が35歳以上と35未満で比較したところ、特に若いグループにおいて、睡眠の質の低下が卵巣予備能の低下と強く関連していることがわかりました。
コメント
睡眠の質の低下は生殖年齢の女性における卵巣予備能低下と関連することが明らかになりました。
この研究で睡眠の質をはかるために用いられたアンケートはピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)というもので、睡眠障害の重症度を評価するための方法として信頼性や妥当性が高く、世界的に広く用いられています。
PSQIでは、過去1カ月における睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、睡眠薬使用の有無、日中覚醒困難といった項目について自記式で回答し、スコアが高いほど睡眠障害は重度であるとされています。
最後に、より良い睡眠のために効果的な方法を以下にご紹介します。
1)早く寝る:どんなに遅くとも23時迄には寝る。
2)早く起きる:起床後14~16時間後にメラトニンの分泌が始まります。
3)起床後太陽光を浴びる:出来れば45分以上散歩する。
4)朝食は必ず食べる。:起床後2時間以内に。
5)朝食はバランスよくしっかり食べる:体内時計のリセット効果が高まります。
6)以上のことを毎日同じ時間に行う:週末も同じリズムを維持します。