いっそ、これが原因で、妊娠しにくくなっているようです!
なんていう検査の結果が出たほうが精神衛生上よいのかもしれません。
みつかった原因を治療すればよいのですから。
なにをすれば、が明解ですから、 その部分では悩みません。
ところが、現実はそんなふうに、明解な原因が分かるケースの方が、むしろ、まれで、不妊の原因が分からない、もしくは、もしかしたら、これかもしれないし、あれかも・・・、なんて、ハッキリしないケースのほうが圧倒的に多いのです。
実際のところ、さちさんの場合も、お腹に癒着があって、排卵された卵子をうまく取り込めないとか、卵管の通過性が低下しているのか、可能性として、いろいろなケースが考えられるものの、これは、外からでは分からないし、調べようもありません。
もっと言うと、腹腔鏡で調べても発見できないようなケースもあります。
要するに、不妊原因を完璧に把握するのは、どうしても限界があるということです。
ですから、どこまでいっても可能性だけがあるわけです。
ということは、どんな治療が、もっとも相応しい治療なのか、誰にも分からない、ということです。
であれば、どんな方針のもとで治療を進めていくか、ですよね。
日本産科婦人科学会の会告では、体外受精へのステップアップは、これ以外の医療行為によっては妊娠成立の見込みがないと判断されるものを対象とする、としています。
あくまで、体に負担のかからない治療で妊娠を目指すという考えに立っています。
この考えに立てば、人工授精を、その妊娠率から考えて、数回から10回程度繰り返し、人工授精では、妊娠成立の見込みが、ほぼ、ないと判断されれば、体外受精へステップアップを検討するということになります。
人工授精までは、一般不妊治療と言われている治療法です。
使う薬にもよりますが、体への負担やリスクが比較的少なく、費用も保険が適用になる部分が大きく、それほど高額にはなりません。
ですから、いくら、妊娠の確率が高いからといって、人工授精での妊娠の可能性が残されているにもかかわらず、数字だけで、安易に体外受精へのステップアップを決めてしまってもよいものかどうか、ご主人とよくよく考えることが大切です。
さちさんが、1日も早く妊娠を望まれるお気持ちは当然のことですが、やはり、可能であれば、一般の不妊治療によって妊娠できることに越したことはありません。
だからといって、マニュアル的に無駄な治療を繰り返してよいと言うことにはならないのですが。
また、"これ以外の医療行為によっては妊娠成立の見込みがないと判断"もクリニックや医師にによっては、異なるようで、最近では、高度な治療を中心とする不妊治療クリニックも増えているのも事実です。
いかがでしょうか?
このような観点で、今一度、クリニックで、それぞれの治療のリスクや費用、妊娠率などをしっかりと確認されたうえで、ご主人とじっくりとお話し合いになって、決められることが大切です。