病院を選ぶ基準を教えて欲しい

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病院を選ぶ基準を教えて欲しい

ホームページ上の「食生活」について大変興味深く拝見させていただきました。
今後は一層バランスのとれた食生活を送るようにしようと思います、ありがとうございました。

今回ご相談したい内容は「病院の選び方」です。

10ヶ月前からそれまで通っていた個人病院の先生に紹介してもらい、家の近くの大学病院に通院しております。
主人とも初回時に相談に行き、いろいろお聞きした結果、やはり体外受精の方法をとることにいたしました。
既に現在までに2度ほど採卵しておりますが、卵子の状態が悪く、受精にはいたっておりません。
10ヶ月も通っていてたった2度の採卵?と思われるかもしれません。
原因は2つあり、1つは私自身の卵巣の問題です。排卵がうまく行かず、そのまま卵巣の中で膨らみ腫瘍になってしまったりしているからです。
もう1つは私の卵巣の状態が良くても、担当医師が学会出席や出張、その他大学病院 の休診日にあたり、採卵できないこと。
先月担当医師からそのことで「今月は調子が良いのに、休診日と学会で採卵してあげられなくて申し訳ない、個人病院とかであれば土日祝日でも大丈夫なところもあるから転院したら?」と 言われました。本当に申し訳なさそうに...。
病院は自宅から近いため、その後出社するにも楽で良いのですが。

早速インターネット等で検索したところ個人病院で比較的通院しやすいところが1つ、大学病院のようなところですが、その必要があれば土日も採卵していただける病院が1つありました。
現在通院している病院では体外受精にかかる費用は(受精にはいたっていませんが) 、採卵1回につき約2万円、受精した場合は成功報酬が約10万円ほど(お支払したことがないため不正確)と聞いております。

検索した2つの病院の体外受精の費用を調べたところ、個人病院は約40万、大学病院のようなところでは約20万円くらいと聞きました。
なぜ費用にこれほどの差が出るのでしょうか?
大学病院のようなところも個人病院も体外受精はもちろんのこと、顕微受精もとりおこなっており、素人考えではさほど設備に差もないように思うのですが。

今後のことを考えれば(自分の年齢を鑑みれば)少ないチャンスを逃さないためにも転院したほうが良いのか悩んでいます。
その場合の病院の選ぶ基準?のようなものがあれば、何かアドバイスをいただきたいと思い、メールさせていただきました。
お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

お名前:みょう   性別:女性  年齢:40
結婚歴:5年  不妊期間:4年11ヶ月  不妊治療期間:4年6ヶ月
これまでに受けた検査:ホルモン検査/フーナーテスト  これまでに受けた治療:タイミング指導/ホルモン療法(クロミフェン等の薬の服用)/ホルモン療法(HMG・HCG等の注射)/AIH(人工授精)/IVF(体外受精)

Answer【回 答】妊娠しやすいカラダづくり 細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)

不妊治療の「病院選び」は、決して簡単なことではありません。

なぜなら、大前提として、探す病院の情報が、比較検討が可能な状態で、かつ、信頼できる情報として、患者に提供されていないからです。

これが、公的な機関が法律を背景に全国の不妊治療を実施する病院の治療成績を、自分にあった病院を探している患者さんのために公開しているイギリスやアメリカと、決定的に異なるところです。

さらに、医師も人間ですから、相性のようなものもあって、必ずしも、完璧な病院情報データがあって、それをもとに選んだとしても、最終的には、"縁"というような要素もあったりします。

いろいろ、悩んでしまうのも当然ですよね。

ですから、大切なことは、正しいプロセスでもって、病院を選ぶこと、それは、ご相談のように"選ぶ基準"と考え方を明確にしておくということです。
そして、ある程度の試行錯誤も覚悟すること。
要するに、 一度、選んでも、通ってみて違うなと感じたら、転院することです。

さて、前置きはこれくらいにして、みょうさんの場合の病院選びの際のポイントを整理してみましょう。

1)高度な生殖医療(体外受精)の技術レベル

みょうさんの場合は、高度な治療を受ける病院を探すという大前提がありますので、技術レベルが一定のレベルを超えていることが"最重要条件"です。

1-1 体外受精や顕微授精の実施数

それぞれの病院の技術レベルを高度な治療の実施数を目安にするという考え方です。
妊娠率等の治療成績で、その施設の技術レベルを把握するのは意外に困難かもしれません。

日本では、現在、日本産科婦人科学会に登録している体外受精の実施施設は、600以上あって、現在の増加傾向にあります。数だけでいくと、世界一です。ところが、治療の実施数、要するに、経験の格差が大変大きいものがあります。たとえば、年間の治療周期数が300を超えるところは、たった20前後です。それに対して、年間50以下のところは、約300件もあるのです。

実際の病院ごとの治療数は、最近、いろいろな不妊関連の情報誌で調べることが出来ます。
例えば、週刊朝日の過去の特集記事、主婦の友社の「赤ちゃんが欲しい」の全国不妊治療施設ガイド等です。

みょうさんの場合、良好な卵子を採卵するためには、適切な排卵誘発が必須かと思われますので、経験豊富な医師のもとで治療を受けることがとても重要なポイントになるのではないでしょうか?

1-2 治療内容や治療方針

技術レベルということですが、さまざまな治療を施してくれるかどうかということです。例えば、体外受精、顕微授精、凍結胚移植は当然のこととして、胚盤胞移植やアシスティッドハッチング等の治療が可能かどうか。

さらに、高齢な患者への対応です。
病院の中には、40歳以上は受け付けないところもあります。

2)ロケーションや診療時間帯

病院の立地だけでなしに、診療時間も大切なポイントです。

みょうさんもこれまでの経験で実感されていると思います。体外受精の場合、治療周期が始まると、注射や検査のために頻繁に通うことになります。ですから、診療時間帯やお休みは、特に、お仕事をもっているみょうさんの場合には、重要なポイントになりますね。

3) 料金

体外受精は保険が適用されませんので、きちんとした料金体系を明示しているかどうかです。
一口に体外受精といっても、それに伴う注射やお薬等は個人差もあります。

また、みょうさんが疑問に感じておられるように、施設間によっても違いがあります。
これは、いわば、"経済原則"によるものです。

個人病院は、開業するための土地建物、設備等に先行投資しています。ですから、当然、減価償却して、資金を回収していくという経営が必要になのに比べて、公立の大学病院では、そのような先行投資は必要ありません。外からみれば、同じように見えるかもしれませんが、そもそも、根本的に医療機関としての目的(大学は研究や教育機関)が異なりますし、施設の運営形態も根本的に異なります。

ですから、料金の格差があって当然で、特に、個人病院が法外な料金をとっているというわけではありません。

そして、たとえ、料金の格差があったとしても、日本では、体外受精等の高度な不妊治療は、一般論ではありますが、比較的、一部の個人病院がリードしてきたことから、
個人病院に 経験豊富で、治療技術も高い施設が多く、患者の側にたった体制を整えているの実情ですので、金額の高い安いだけでは決して判断することは出来ません。

これまでの経験からもお分かりいただけるのではないでしょうか?

4)みょうさんの感覚を大切に

最後ですが、とても大切なことです。
それは、みょうさんが実際に感じる感覚を大切にすることです。
お知り合いの方にとってはよい病院でも、みょうさんにとっては必ずしもよいとは限らないからです。
あと、医師との相性もありますので、実際に、みょうさんの目でみて、みょうさんの耳で聞いて感じたいことを大切にすることが、とっても重要なことと思います。

あとは、カウンセラーがいるかどうかとか、いくつもの選択基準があるかとは思いますが、これまでの私たちの経験から考えられることを述べてみました。

ご参考になれば幸いです。

うまくいくことをお祈りしています。

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