おまけに、頼りになるはずの先生からは、「わからない」と言われ、その上、調べる手だてもないと言われては、疑心暗鬼になってしまい、ますます悩みが深まるのも、また、仕方のないことと思います。
そこで、あとあと、後悔しない治療を受けるために、頭の中を整理して、今後のことを、ご主人と二人で考え、判断されるのに参考にしてもらうるようなお話が出来ればと思います。
まず、正しく認識しておかなければいけないこと、それは、妊娠しないとういう状態を正確に把握するのは、実は、大変に難しい場合が多いということです。
なぜかと言いますと、妊娠を妨げている原因は複数がからみあっていることも多く、さらには、毎周期、原因が異なるのかもしれないからです。
妊娠成立のプロセスは、ある意味、偶然性が支配していたり、"曖昧な面"があると言ってよいのかもしれません。
そんなわけで、妊娠できない原因を追及し過ぎるのも、かえって、ストレスばかり感じてしまうことになりかねないのです。
そんな状態ですから、一部の不妊原因が明確になっているようなケースをのぞいて、どこをどう治療すればよいのか、要するに、治療を始める時点で、妊娠するための的確な方法は分からないのです。
いかがですか?決して、てこさんの状態は、特別なことでもなんでもないのですね。
ですから、治療を施していくとなった場合、「ステップアップ」という考えを採用するわけです。
この、不妊治療に特有の治療方針も、また、正しく認識しておかないと、不必要に悩みや不安が大きくなってしまいかねません。
ステップアップ治療というのは、妊娠を妨げている原因を、一番ありそうなものから、そして、治療法として身体の負担の少ないものから、順番につぶしていこうというものです。
しつこいようですが、治療が始まっても、どのステップで妊娠できるのか、誰にも分かりません。
言ってみれば、手探り状態で進めていくのです。
考えてみれば、こんないい加減な治療方針はないのかもしれませんが、いかんせん、原因が明確に把握できないという宿命的な事情があるものですから、致し方ないのです、不妊治療が先の見えないトンネルにたとえられるゆえんです。
いかがですか?
このように、不妊治療というのは、これまで、てこさんが経験されてきたいろいろな治療とは、かなり勝手の違う治療であることがお分かりいただけたでしょうか?
それを踏まえて、不妊治療を受ける際の、あるべきスタンスのようなものを考えてみます。
まずは、不妊治療のそれぞれのステップの治療内容を勉強しておくこと、そして、自分たちが、現在、どのステップの治療を受けているのかを知っておくことです。
そうすれば、自ずから、治療の見通しをたてたり、自分たちで、どんな治療をどこまで受けるのかを決めることができるようになると思います。
そして、ある程度は、客観的に考えられるようになれば、尚、よいですね。
あと、治療を受けいて、疑問に思ったことや分からないことは、その都度、先生に確認しておかないと、自分たちで考えたり、判断するための材料が不十分になってしまいます。
迷ったり、悩んだりしてしまうのは、当然ですが、お二人なりの考え方や判断基準を、徐々にでも、明確にしていけば、少しずつでも前進できるのではないでしょうか?