その際に、それぞれの治療を、どれくらいの回数を繰り返すのか、要するに、どの時点で、その治療を繰り返しても、妊娠が難しいと判断するのか、そして、どんな基準で、体外受精のような高度な生殖医療にステップアップするのかは、それぞれの先生によって、いろいろなお考えがあるかとは思います。
それでは、一般的な考え方をご説明します。
まずは、これまでセックスのタイミングが合っていなかったと想定して、医師から、適切なセックスのタイミングを指定してもらうのがタイミング指導です。
一般的には、この治療は長くても1年間と考える先生が多いようです。
なぜなら、統計的にみて、タイミング指導で妊娠できるのであれば、だいたい、1年以内には妊娠に至っているからです。
ですから、1年間、タイミング指導を受けても、妊娠しなかったということであれば、セックスのタイミング以外に、妊娠を妨げている何らかの原因があるのではと考えるのが自然です。
そして、タイミング指導の次の治療として、卵管の通過性等に問題なければ、人工授精にステップアップするのが一般的です。
人工授精によって、精子が子宮の卵管の入り口まで到達する迄を迂回するわけですから、このプロセスに妊娠を妨げていた原因があったのであれば、妊娠に至る可能性が高くなるわけです。
この人工授精は、だいたい、5~8回繰り返し、それでも、妊娠に至らない場合には、体外受精のような高度な治療へのステップアップを検討するのが一般的です。
さて、タイミング指導の次に人工授精を受けるのか、それとも、すぐに、体外受精にステップアップするのかはどのように考えればよいのでしょう。
迂回するプロセスの範囲が、体外受精のほうが大きい訳ですから、体外受精の方が確率が高い治療になり、妊娠の確率の高い治療を最優先するという考えにたてば、先生の勧められるように、すぐに、体外受精にステップアップするということになります。
ただし、人工授精までの一般不妊治療と、体外受精のような高度生殖補助医療とは、身体にかかる負担やリスク、かかる費用も格段に大きくなります。
ですから、大きくなるリスクという観点からも、慎重にお考えになる必要があるかと思います。
また、30歳前半は、まだまだ、焦ったり、慌てたりする必要がない年齢です。
いかがでしょうか?
何を優先して、何を犠牲にするのかは、それそれの先生には、それぞれのお考えがありますが、同時に、ぞれぞれのご夫婦には、ぞれぞれのお考えがあります。
治療内容だけでなく、リスクや費用、疑問に思うこと、不安に感じること等は、率直に先生にご質問、ご相談されるべきです。
そして、最後に決めるのは、先生ではなく、あけみさんとご主人です。