でも、よく分ります、机上の理論や数値よりも、目の前の事実の方が説得力がありますよね!
ですから、不妊仲間が、それも自分たちよりも妊娠しづらいと思われていたのに、先に妊娠されると、それはもう、焦りまくりで、おっしゃる通り、『もしかしたら』なんて不安も大きくなるのも当然だと思います。
ただ、物事は見方によって、随分、受ける印象が変ってくるものです。
例えば、自分たちよりも妊娠しづらいと思われていた人"でさえ"妊娠したのだから、きっと、自分たちも、そのうちに授かるだろうとも理解できるわけです。
決して、精神論で励ますつもりはありません。
確かに、印象という面では、目の前の事実は説得力があるのですが、全体の傾向の中で自分たちはどうなのか、という視点で、冷静に考えないと、不要な心配や不安が増すばかりです。
要するに、お知り合いと比較してみても、何の意味もないということです。
男性の精子の状態なんて、常に変化しています。
検査の結果は、あくまで、検査の時点の状態を示しているだけで、例えば、精子が全くいないなんていう場合は別として、たとえ、基準を満たしていない男性でも、普通に授かることも決して珍しいことではありません。
検査の数値に一喜一憂するのも考えもの、という側面があるわけですね。
状況を整理してみましょう。
不妊の原因がない、或いは、みつからないという現状をどう受け止めるべきなのでしょうか。
まずは、原因が分らないというケースは、とても多いということです。
本当に不妊の原因となるのは、ご主人の精液中に精子が1つもいない場合、排卵が全くない場合、そして、両側の卵管が閉塞している場合の3つです。
それ以外は、不妊の原因になっている可能性があるというだけで、本当に、それが不妊の原因になっているかなんて、誰にも分りません。
なぜなら、可能性が考えられるものを取り除いても、妊娠するとは限らないからです。
このように、妊娠のプロセスはとても複雑で、妊娠しない原因なんて、複合的かつ、変動的なことが多いと認識するのが、自然な考え方ではないでしょうか。
ですから、もしかしたら、自分たちには、分らない原因が隠れていて、授かることが出来ないのでは、なんて考え出すと、ちょっと、キリがないのですね。
であれば、どのように考えればよいのでしょう。
それは、不妊期間、そして、母親になる女性の年齢から、全体の傾向の中で、自分たちは、今後、どれだけ期待を持てるのかを目安とします。
まずは、不妊期間ですが、1年と1ヶ月ということですが、実は、不妊期間からみれば、なにも深刻に考える必要はありません。
なぜなら、日本産科婦人科学会は、不妊症の定義を2年の不妊期間としているからです。
これは、1周期あたりの妊娠率を基に算出したもので、要は、2年経過すれば、9割のご夫婦が授かるとことから2年としているのです。
きゅうさんのところは、全体からみれば、未だ不妊症とさえ診断されないのです。
そして、信頼のおける調査データは、1年間授からなかった夫婦が、何もしなくても(不妊治療を受けなくても)、次の1年で自然に授かる確率は50%としています。
いかがでしょうか?
現在の状況を客観的にみれば、きゅうさんは、少しご心配が過ぎるのでは、ということが言えると思います。
このようなことから、腹腔鏡検査も、まだ、その必要性はとても低いという判断になるかと思います。
それで、です。
だからと言って、きゅうさんが、すぐに妊娠できるかどうかの保証はありません。
ですから、今後の治療においても、治療内容、例えば、何かを治療するのか、それとも、妊娠の確率を上げるのか、原因がありそうなプロセスをバイパスするのかを正しく理解し、そして、その治療の妊娠率を確認し、常に、ご自分たちの"現在地"を知っておくことが、不必要な不安や心配にさいなまれることなく、自分たちらしい判断ができるようになると思います。
そういう意味で、頑張ってください。