それだけ、妊娠が成立するプロセスは複雑で、デリケートなものと理解するしかありません。
当然、治療のスタート時点では、どんな治療をどれくらい受ければ妊娠できるのか、誰にも分りませんし、知る方法もありません。
ですから、治療と言えども、何を、どのように治療するのかは、手探り状態で進めていかざるを得ないわけで、なかなか、治療を継続していても、何かがよくなっているという感覚、言い替えれば、妊娠に近づいているという実感がもてませんから、途中から、『これ以上治療を続けても妊娠できないではないか』という不安にさいなまれがちです。
不妊治療特有の事情と言えるかもしれません。
さて、ポーさんに、まず、理解して欲しいのは、これまでのステップアップ治療というのは、妊娠を妨げている原因を順番に想定して、それをつぶしてきたのです。
ということは、これまで治療で結果が出なかったということは、これからの妊娠の可能性を否定するものではなく、これまでの治療で想定したところに妊娠を妨げていた原因がなかったということなのです。
全く原因が分らない中でスタートして、頑張ってこれまで治療を続けてきて、思う結果が出なかったものの、そのことを明らかにしてわけですから、決して、無駄なものではなかったのですよ!
そして、これまで検査や治療の結果から言えることは、なんらかの事情で卵子と精子がスムーズに出会えていない可能性が高いということになります。
当然、体外受精ということになります。
それでは、体外受精の妊娠率というのはどれくらいなのでしょうか。
施設によって、また、母親になる女性の年齢によって、異なるのですが、だいたい、20数パーセントと言われています。
ですから、1~2回の胚移植で、妊娠に至らなくても不思議なことではありません。
体外受精の累積妊娠率という観点から言えば、妊娠される方は、だいたい、5回くらいまでに妊娠しています。
ということは、もちろん、十数回の胚移植で妊娠に至るということもあり得るのですが、6回以上治療を繰り返しても妊娠する確率はとても低くなってしまうということです。
目安としては5回まで胚移植を受けてみるということでしょうか。
また、体外受精の成功率を高める方法として、たとえば、胚盤胞まで培養してから移植するという方法等もありますので、先生にご相談されればいかがでしょうか?
さらに、日本では高度な生殖医療の施設間の実績には大きなバラツキがあるため、治療成績や実力も施設によって差があるのが現実です。
ですから、後悔しないためにも、どの先生に治療をお願いするのか、再度、検討してみるのも方法です。
そして、最後に、これまでの経過を拝見しますと、休みなく、治療に邁進してこられたようです。
ちょっと、この辺で、身体と心を休めてみませんか?
排卵誘発剤を使うと言うことは、卵巣にもッと働け!と強要するという面もあります。
それを続けてこられたということは、ある意味、生殖器官を酷使させたと言えなくもありません。
これまで頑張ってこられたのですから、感謝して、いたわってあげたいものです。
そうすれば、よーし、頑張るゾーと思ってくれるかもしれませんよ!