ですから、人工授精や注射をお休みするのは、あべさんにとって必要なことであって、決して、『いけないこと』ではないと思います。
辛くなってきたら休むべきなのは当然のことで、我慢して治療を続けることが出来ない、頑張れない自分を責めたりしないでください。
もしかしたら、治療を休むことで、ますます、妊娠から遠ざかるという不安がそうさせるのかもしれませんね。
であればこそ、一方では、冷静で、客観的な視点で、自分たちの問題はどこにあるのか、また、その問題の程度はどれくらいなのか、そして、それをどのような治療方針や内容で克服しようとしているのか、さらには、今、どの段階にあるのかを理解しておくことが大切です。
要するに、自分たちが目指しているところへいくのに、自分たちは、今、どこあたりにいるのか、そして、これから、どうやって目的地にたどり着けばいいのか、自分たちなりに把握しておきたいということです。
さもないと、これからも、漠然とした不安が大きくなりかねません。
まず、経緯をみてみますと、『卵巣機能不全』とか『不妊症の症状』とありますが、卵巣機能不全とか、不妊症というのは、実は、具体的な症状や程度を規定している言葉ではなく、とても漠然としていて、マイナスの印象を抱いてしまいがちです。
サイクルが不順で多少排卵しづらいという状態なのか、それとも全く排卵できていないのか、一口で卵巣機能不全とか不妊症の症状と片付けてしまわずに、どの程度なのかを把握しておくことが大切です。
その程度によって、排卵誘発剤を使う目的や方法が違ってきたりします。
排卵障害や無排卵への治療は、排卵誘発剤でサイクルを整えたり、排卵を起こします。
不妊、あるいは、妊娠しづらくさせている原因に対し治療を施しても、確率の問題がありますから、それぞれの治療に相応しい回数を繰り返します。
そして、排卵誘発剤でサイクルを整えたり、排卵を起こして、タイミングをとって、1年以上授からないとなると、排卵障害やタイミング以外に妊娠を妨げている原因が存在すると考えざるを得ないですから、ステップアップ治療ということになります。
現在は、人工授精を受けておられるとのことですから、回数の目安としては、だいたい6回くらいです。
それは、統計的にみて、6回までに授からなければ、それ以上繰り返しても妊娠の確率はうんと低くなるからです。
そして、その場合は、卵子と精子がうまく出会えていないことを想定して、体外受精等の高度な治療を検討することになります。
このように、他に不妊の原因がありそうなのだけれどもよく分らない場合、順番にその原因となっていそうなところをつぶしていくという考え方で治療をすすめていきます。
治療の進め方としての考え方はこのようになります。
もちろん、1つの目安にしか過ぎませんから、この通りにすすめなければならないということではありません。
また、冒頭で申し上げた通り、治療が辛くなってきたり、身体への負担が大きいと感じた場合は、いったん、お休みして、心や体を休めて、労ってあげることも大切です。
自力で排卵があって、卵管の通過性に問題がなければ、その間に自然妊娠される可能性も十分あるかと思います。
また、ご主人の精子の数が変動することは決して異常なことではありません。
精子の数や運動率は、常に、その時々の体調やストレス、タバコやお酒の量などに影響を受けるものです。
バランスのよい食事やストレス発散等、生活習慣に留意する事も大切です。