このため、普通は、超音波で卵胞の大きさをチェックし、排卵の直前にたくさんの量が分泌されるLH(黄体形成ホルモン)の尿中の濃度を測定したりして、最も妊娠しやすいタイミングに人工授精を実施しますので、洗浄濃縮によって、精子の授精能力保持時間が短くなっても問題ありません。
さて、妊娠を妨げている原因が明確なのであれば、どんな治療を受けるべきかも迷うことはないのでしょうが、実際にはそのようなケースの方が少数派で、特に異常は見当たらないのだけれどもなかなか授からないというご夫婦が多いようです。
こうした場合には、どんな治療を受ければ確実に授かることが出来るのか、予め知る方法がありませんので、考え方としては、自然に近い方法、身体にかかる負担やリスクが小さい治療を何回か繰り返して、それでも授からない場合はステップアップしていくのが一般的です。
これまでの文献によりますと、原因不明不妊の場合、やはり、タイミング指導よりも人工授精の方が妊娠の確率は高いとされています。
排卵誘発剤で複数の卵子を排卵させて人工授精すると、多胎妊娠率も高まりますが、 さらに確率は高まります。
ただ、もしも、卵子と精子が何らかの理由で出会えていないのであれば、いくら人工授精を繰り返しても妊娠することは難しいということになります。
人工授精で妊娠される方のほとんどは、6回目くらいまでで妊娠されているというデータがありますので、人工授精を5、6回受けても授からない場合は、体外受精へのステップアップを検討するということになります。
ただし、妊娠する力を低下させる最も大きい要因は母親になる女性の年齢です。
もちろん、自然妊娠の可能性はゼロではありませんし、どんな治療をどれくらい受けるのかは、お二人が決めるという前提ではありますが、現在、38歳ということですので、もしも、高度な治療を受けることも視野に入れておられるのであれば、妊娠の可能性を最大にするいう観点から言えば、もっと早いタイミングでステップアップするのが得策ではあると言えると思います。