一方、同じグレードの胚が2個あり、多胎妊娠を避けるために1個の胚しか移植できないという状況にあった場合、4細胞期で2個の胚にグレードの差がなくとも、8細胞期まで培養を延長することで、胚に優劣がつき、より良好な胚を選びやすいことがあります。
よって、胚を厳選するという意味においては、4細胞期よりも8細胞期のほうが若干ではあるものの有利に働く場面もあります。
次に、4細胞期胚を8細胞期まで培養することで胚に悪影響が出るかどうかですが、4細胞期から8細胞期での初期段階の培養においては、細胞分裂に急ブレーキがかかることのほうがむしろまれですし(8細胞期以降の体外培養では、細胞分裂状況に急ブレーキがかかることがあります)、凍結保存技術がある程度確立された現在では、急ブレーキがかかる現象が凍結胚特有のものとも言えないように思います。
もちろん、凍結・解凍によるダメージによって、4細胞期から8細胞期に到達しないこともあるのですが、そのようなケースはおっしゃるように、早期に子宮内に移植したからといって、順調に分裂が進むとも言い切れないです。
ただ、そちらの先生は、現在の培養液が子宮の環境よりも良好とも言えないということもご存知だと思われますので、万が一のこともご心配なのでしょう。
そちらの先生のお考えも決して間違ってはいないとは思いますよ。
結局のところ、今回の場合、胚を厳選する状況にはないようなので、先述しましたように、どちらの時期に胚移植しても妊娠の可能性に大差は生まれないように思われますが、私個人的な意見としては、hana様が一度トライしてみたい8細胞期に胚移植を実施したほうが、hana様の満足度が高まり、精神衛生上は良いようにも思えます。