さて、これまでの治療期間が3ヶ月とのこと、そして、ご主人も含めて、一通りの検査で何の問題もなかったとのことですから、現在の治療(タイミング指導)で、今後半年以内に、妊娠される可能性は十分にあると考えられます。
なぜなら、周期あたりの妊娠率は20数%とされているからです。
20%と聞くと、5周期以内に妊娠しなければ不妊ではないかと心配されるかもしれませんが、この場合は、累計妊娠率で考えなければなりません。
妊娠率が20%の場合の累計妊娠率は1年で90%ちょっとになります。
そして、1年間妊娠しなかった場合でも、次の1年間で、治療を受けなくても、その約半数は妊娠するといわれています。
ですから、自然妊娠を望んでおられるようですので、どんな病気でも、自然治癒を期待して経過観察という治療法があるように、不妊治療の場合でも、自然妊娠の可能性が十分にある場合には、夫婦生活のタイミングだけ意識して待つという治療方針があってよいのではないでしょうか。
もちろん、この場合には母親になる女性の年齢を考慮に入れなければなりませんが、現在、29歳とのことですから、 まだまだ、焦ったり、あわてたりするような年齢ではありません。
大切なのは、全体の傾向から自分たちの状況を客観的に把握したうえで、ステップアップのタイミングや治療方針を判断することだと思います。
もちろん、いろいろな考え方があります。
ですから、先生から勧められた治療について、違和感をお感じになるのであれば、"なぜ、その治療を勧められるのか"、"なぜ、先生が焦っておられるのか"、その"客観的な根拠"を確かめられるのがよいと思います。
そしてそのうえで、お二人の希望を率直に伝えられればいかがでしょうか?