また、お子さんをもち、育てることが、教師として教え子に尊敬されること、そして、男女が幸福な人生を送るための絶対条件であるとは、私、個人的には、到底、同意することは出来ません。
なぜなら、私が、現在でも尊敬申し上げる恩師にはお子さんがいらっしゃいませんでしたし、お子さんがいないご夫婦で、充実した人生を送ってらっしゃる方々をたくさん存じ上げているからです。
さて、ご主人は体外受精を受けることを嫌がってらっしゃる、だから、ご主人とのお子さんは望めない・・・、こうなってしまうと、なかなか、先が見えてこないかもしれませんね。
少し、観点を変えて、いろいろな選択肢を出して、そのうえで、いろいろお話し合いになるのがよいかもしれません。
◎体外受精でないと妊娠の可能性がないのか
先生から体外受精を勧められたということですが、だからといって、この先、体外受精によってでしか妊娠の可能性がないということではないと思います。
現実には、体外受精へのステップアップの基準は、施設や医師によって、相当な開きがあるように思います。
お二人ともに不妊の原因がおありになるとのことですが、多嚢胞性卵巣症候群や高プロラクチン血症は、その程度にもよると思いますが、すぐに、体外受精の適用になる不妊原因ではありません。ましてや、ご自身の排卵障害は改善されてきたとのこと。
また、ご主人の精液の状態ですが、無精子症(精液中に精子がゼロ)でない限り、精子の数や運動率は、その時々で変動が大きいものです。
たとえ、精液検査の結果、数値が正常値を下回っていても、自然妊娠するということはよくあることです。
この先、自然妊娠、あるいは、人工授精での妊娠の可能性について、他の先生にセカンドオピニオンを求めることを検討されればいかがでしょうか?
◎ご主人はどの程度、お子さんを望んでらっしゃるのか
ご主人はお子さんを授かる方法を問題視されているようですが、そのことが、すなわち、お子さんを望んでいないということではないと思います。
ご主人とのお話しあいが、"体外受精を受けるか、受けないか"では、なかなか、難しいものがあるのでしょうが、"自分たちの生活や人生設計を、お互いに、どのように考えるかの"ということであれば、少し、違ったものになるかもしれません。
例えば、ご主人は、『超偏食で添加物たっぷりの食事しかしない』とのことですが、食生活については、お子さん云々以前の問題ではないでしょうか。
まずは、ご自身、そして、家族の健康管理として、少しずつ改善されることが大切ではないでしょうか?
精液の状態は、栄養状態に大きく影響を受けることは多くの研究報告があります。
ご自身の健康のために食生活を改善することは、結果として、妊娠させる力を高めることになるかもしれません。
いかがでしょうか?
お気持ちはとてもよく分かるのですが、体外受精を受けて、授かるということにこだわることは、かえって、ご主人とのコミュニケーションを困難なものにしかねないように思います。
まずは、お子さんを授かるためには、どのような選択肢があるのかを正確に知ること、そのうえで、ご主人と、二人の充実した生活を築いていくうえで、お子さんの授かり方について、お互いの希望を率直にはなしあうこと、そして、接点をみつけていきながら、お二人なりの方針を、お二人で決めることが大切ではないでしょうか。
また、もしも、体外受精を受けることになった場合、スケジュールや副作用に関する体への負担については、先生や医療スタッフの方に相談されながら、お仕事とのかねあいをどうするのかを決められればよいと思います。診断書のことはその時にお尋ねになってはいかがでしょうか。
いろいろ工夫しながら、お仕事を続けながら、治療を受けておられる方も大勢いらっしゃいます。
うまくいくことをお祈りしています。