葉酸はビタミンB群の一種で、妊娠初期の不足すると、胎児の神経管閉鎖障害等の先天性異常の発生率が高くなると報告されていることから、 厚生労働省では、妊娠の可能性のある女性は、妊娠する前から1日400マイクログラムの葉酸をサプリメントから摂取するように推奨しています。
その中で、サプリメントを摂取することを推奨する理由として、たとえ、バランスのよい食事を心がけていても、食事からどれくらいの葉酸が摂取できているのかが不明であること、アメリカの研究報告では食事以外に、1日400マイクログラムの葉酸をサプリメントで摂取すること を推奨されていることなどを挙げています。
過剰な摂取については、葉酸は水溶性ビタミンで速やかに体外に排泄されるますので安全ではありますが、1日1ミリグラム(1000マイクログラム)を超えることがないように注意すべきとしています。
このことから、日頃からバランスのよい食事を心がけていても、妊娠前の女性は、1日に400マイクログラムの葉酸をサプリメントで摂取することが望ましいと言えます。
また、葉酸以外のビタミンB群、たとえば、ビタミンB6やビタミンB12は葉酸と協働して、受精卵の健全な発育に深く関わっているとの研究報告があること、また、元来、ビタミンB群はチームで助け合いながら働くという性質があることから、葉酸単体よりも、ビタミンB群をバランスよく摂取することが望ましいと考えられます。
次に、サプリメント全般について。
サプリメントについては、たいていは、販売者はよいことばかり言いますから、往々にして、あれもこれもなんてことになってしまいがちです。
おっしゃるように、『情報を鵜呑みにして』しまうということですね。
そうならないために、サプリメントを活用する際に、知っておきたいことや考えておいたほうがよいことを整理してみます。
◎『不妊に効果がある』サプリメントは存在しない
不妊というのは、結果として、 一定期間以上お子さんを授からない状態のことであって、身体の状態を定義しているわけではありません。
ですから、『不妊に効果がある』とか、『不妊に効く』という表現は不適切で、そのようなサプリメントなど、そもそも、存在しません。
それぞれのサプリメントには、具体的にどのような働きが臨床試験や伝承的に検証されていて、期待できるのかを知る必要があります。
◎何のためにサプリメントを利用する?
自分たちはサプリメントをどのように利用するのか、サプリメントに何を期待するのかを、ある程度は明確にしておきたいということです。
そのためには、おおまかにでも、自分たちの不妊の原因を想定し、セルフケアで取り組むテーマの1つとして、サプリメントの使い方を考えたいものです。
もしかしたら、サプリメントなど必要ないという結論になるかもしれません。
◎サプリメントに期待しすぎるのは禁物
サプリメントと一口に言っても、本来は食事から摂取するビタミンやミネラル、アミノ酸を補うものから、特定の地域で伝承的に使われてきたもの、外国では医薬品扱いされているようなハーブエキスまで、さまざまな種類のものがあります。
いずれにしても、サプリメントとは、その名前の通り、 "補う"ものであり、言わば、マイナスをゼロにするもので、例外もありますが、医薬品のように、マイナスやゼロをプラスにするものではありません。
ですから、サプリメントの働きに期待しすぎることは禁物です。
これさえ摂っていれば大丈夫ということはなく、あくまでも、バランスのよい食生活や適度な運動といった体づくりの一環と考えるべきです。
◎品質は玉石混交
サプリメントは医薬品ではありません。
このことは、成分規格についての規制がないということで、同じ成分の製品でもその品質や安全性は、それこそ、玉石混交であるということです。
特に、妊娠前という時期を考えると、何を原料として、どんなレベルの管理下で製造されたものか、また、どんな添加物をどれくらい使われているのか、品質面、安全面が気になるところです。
また、植物性エストロゲン等、ホルモン環境に影響を及ぼすものは、たとえ、サプリメントといえども、不妊治療にマイナスになることがありますから、自己判断で摂取しないほうが無難かもしれませんね。
このような観点から、自分たちにはどんなサプリメントが相応しいのかを考えたうえで、信頼できる製品を選択することが大切です。
サプリメントも使い方次第ということではないでしょうか。