そして、体外受精までステップアップされ、2度移植されても授からなかったのこと。
受精も成立されているわけですから、残された原因としては着床に問題があるのでないかと疑ってしまうのも当然のことと思います。
いくつかの観点からご参考にしていただけるような整理をしてみたいと思います。
・体外受精の妊娠率
悲しいかな、そもそも体外受精の妊娠率はそれほど高くないということがあります。
30代前半という年齢では、一般的には25~35%くらいとされています。
ですから、理屈の上では、2回の体外受精で妊娠に至らなかったからといって、何らかの対策を講じる問題があるのではないかと判断するのは早計だと言えます。
確率的には5回くらいは繰り返す必要があるわけです。
・対策について
移植しても妊娠が成立しない場合に、講じるべき対策があるのかどうかですが、まずは、良好な胚がえられるにもかかわらず、移植を繰り返しても妊娠に至らない場合、着床を妨げている原因がある可能性は否定できません。
着床障害が疑われる場合には、子宮鏡などの検査を実施し、子宮内膜の状態をより精密に調べます。
もしも、ポリープや子宮筋腫などがみつかって、それが着床を妨げている可能性が高い場合には、切除します。
あとは、免疫異常などが疑われればその精密検査です。
移植不成功への対策としては、もしも、新たに採卵する際には、胚盤胞移植といって、5日目の胚盤胞まで培養することで、着床環境を整え、妊娠の確率を高めようとする方法、2、3日目の胚と胚盤胞とを2段階に移植する2段階胚移植法があるようです。
ただし、移植がうまくいかなかった場合に、このような対策を講じると次回の移植の際の妊娠の確率が明らかに高くなるというような、そんな決定的な方法は存在しません。
・胚のグレードについて
胚のグレードは、主には、見た目で判断するのですが、外見だけでは判断しきれないこともあるようです。
ですから、外見上、よさげな胚を移植しても妊娠に至らなかったのに、外見上、その胚よりもよくないと考えられた胚が着床、妊娠することが起こり得ます。
いかがでしょうか?
先生がおっしゃるように、不妊治療は明確な原因があって、それを治療しても妊娠に至らない場合があるというのは、妊娠が成立する要件は決して1つではなく、複数あるということ、また、妊娠に至らない原因として最も多いのは染色体異常、つまり、巡りあわせであり、妊娠が成立するかどうかは、偶然が支配する部分が大きいということだと思います。
今後の治療がうまくいくことをお祈りしています。