【Q1】
1回目顕微授精は採卵数9個で、受精卵が2個。
2回目顕微授精は採卵数8個で、受精卵が1個しかできませんでした。
顕微授精の授精率は70%~80%と言われているのに、受精卵の出来る数が少な過ぎると思うのですが、これにはどんな原因が考えられますか?
主治医には、精子の卵活性因子の不足ではないかということで、2回目の顕微授精の時には、カルシウムイオンにつける処理などもしていただきましたがあまり効果が無かったようです。
毎回採卵しなければ胚移植できない状態は、体力的にも精神的にもつらいです。
受精卵ができない原因、卵活性因子が不足している事による影響などを教えて下さい。
【A1】
実際の卵子、精子の状態をみていないのではっきりしたことは言えませんが、顕微授精で著しく受精率が低い場合、卵子側の要因としては、"卵子細胞質の成熟度が低い"ことが考えられます。
特に、卵胞が育ちすぎて採卵のタイミングを早めた場合等、(例えば周期10日目前後の採卵)にみられることがありますが、この場合、卵子は生物学的には"成熟"(卵子は第1極体が見られたら成熟しているとみなされ、hCG注射をうてば、時期が早くても成熟することがあります。)しているものの、肝心の"卵子細胞質が成熟していない"ために、顕微授精を実施しても著しく受精率が下がることがあります。
この場合の対策としては、採卵時期を遅くする、あるいは、卵巣刺激法を試行錯誤してみることなどが効果的かも知れません。
次に、精子側の要因ですが、精子自体が著しい奇形を伴っていることや、体内残存期間が長い古い精子を用いていることが考えられます。
著しい奇形を伴う精子の場合は、精子側の卵子活性化能力自体が乏しいので、いまだ安全性が確立したわけではないものの、カルシウムイオノフォアや電気刺激などの力を借りて、人工的に活性化処理をして受精させる以外方法はないかも知れません。
なお、卵子の活性化が起こらない限り、受精しませんし、その後の胚発育は不可能ですので、精子側に著しい奇形があるかもう一度医師にご確認いただくと良いでしょう。
一方、体内残存期間が長い古い精子を用いている場合などは、禁欲期間などを調整して、できるだけ新鮮な精子を用いる努力をしてみてください。
また、これとは別に、男性側で精神系のお薬などを長期間服用していると、受精能力に悪影響を及ぼすことがあります。
お心当たりはないか一度ご確認ください。
【Q2】
卵活性因子が不足している精子で授精した受精卵は着床する事は難しいのでしょうか?
【A2】
世界的には、卵子活性化処理を施しての健常出産報告例はありますが、現実問題としては、胚の着床能力が低い可能性も否定できないかも知れません。
ただ、前述しましたように、卵子側の要因の場合は、卵巣刺激法などを見直すことで成績が改善出来るかも知れません。
まずは、担当医師によくご相談ください。