悩ましいのは、人工授精までの治療で妊娠出来るのか、或いは、体外受精でないと妊娠できないのかを、予め、知る方法がないことです。
なぜなら、男性の精液検査は濃度や運動率が数値で出てくるのですが、だからと言って、その数値だけで、"妊娠させる力"を正確に把握することは難しいからです。
たとえば、自然妊娠に最低必要な運動率は8.5%、人工授精では7%といわれていますが、それは、あくまで、可能性があるということで、それ以上であれば、必ず、妊娠できるというわけではありません。
つまり、どうしても、「やってみなければ分からない」ところがあるということです。
ですから、日本生殖医学会では、「必要最小限の治療で妊娠を目指す」という考えのもとで、以下のような治療回数の目安を、「最適な不妊治療の選択指針」としています。
精子無力症(運動率が50%未満)の場合、運動率が10%以上あれば、治療方針としては、タイミング法からスタートして、それでも、妊娠しなければ、人工授精を、回数としては、5回から7回くらい実施して、そして、それでも妊娠しなければ、体外受精、そして、受精率次第では、顕微授精を、回数としては5回を目安に実施してみるということです。
この選択指針に従えば、これまで4回の人工授精を受けられたということですので、出来るだけ自然に近い方法で妊娠を希望されていらっしゃるのであれば、あと、2~3回は人工授精を続けてみて、そして、それでも授からなければ、体外受精にステップアップするという治療計画を検討してみるのがいいかもしれません。
先が見えない不妊治療だからこそ、次こそはと、漫然と治療を続けていくのではなく、自分たちが納得出来る計画を立てることが大切だと思います。
また、ご自身もおっしゃっているように、メンタル面の影響も少なくありませんので、お二人の治療方針を決めたうえで、不妊治療を少し休んでみるのもいいかもしれません。
また、不妊治療だけに頼るのではなく、ご主人の精子の質を高める努力をされることも大切だと思います。
特効薬は存在しませんが、漢方薬やサプリメントなどで改善が期待できるものもあります。
決して、この方法しかない!なんてことはないと思います。
うまくいきますようにお祈りしています。