卵子も精子も新鮮なうちに出会うに越したことはないのでしょうが、それでは、どれくらい受精能力があるのかは、正確なことは分からないとしか言いようがありません。
目安としては、たとえば、体外受精の際の観察では、受精可能な時間は、排卵後、だいたい、8時間とか、12時間と言われたりしています。
ただし、そもそも、正確な排卵のタイミングは誰にも分かりません。
病院で卵胞の大きさをチェックしてもらうことで精度は高まるのでしょうが、あくまでおおよその時期です。
また、卵子だけでなく、精子の鮮度も関わってくるはずですが、実際のところ、精子は卵子と違って、毎日つくられていて、射精まで待機しているわけですから、その鮮度は、禁欲期間も影響してくるわけです。
つまり、卵子も精子もその鮮度を正確に把握する方法はないということです。
次は、観点を変えてみましょう。
受精の成立や流産、死産、さらには、お子さんの先天異常などのリスクは、私たちには分からないこと、そして、分かっていてもコントロールできないことも含めて、たくさんの要因が、複合的に関わっています。
つまり、卵子と精子の鮮度だけで、受精やその後のさまざまなリスクの大きさが決まってしまうというような、そんな単純なメカニズムではないということです。
いかがでしょうか?
繰り返します。
卵子が精子と出会ったのが、排卵後、どれくらいなのか、正確に知る方法はなく、また、卵子の受精能力がどれくらいなのか正確には分かっていない、そして、精子の鮮度を正確に知る方法もないわけです。
さらに、受精するかどうか、受精しても、着床するかどうか、着床しても、流産しないで、元気に生れてくるかどうかは、卵子と精子が出会ったタイミング以外にもたくさんのことが影響を及ぼすわけです。
つまり、卵子と精子が新鮮なうちに出会うに越したことはありませんが、精子と出会うタイミングが、卵子が排卵してから6時間の前か後か、1つの要素だけを、デジタルにとらえて、あるイメージを抱いてしまうのはとても危険なことだということです。
もちろん、妊娠のメカニズムを知識として持っておくことは大切なことです。
ところが、自分たちには、 把握しきれないことや コントロールしきれないことについて、その結果に過度にこだわって、コントロールしようとすると、大きなストレスを抱え込んでしまいかねないということですね。
そんなふうに、ご主人と仲良くするのも、お互いに辛いところがあるのではと思ったりもします。
妊娠を強く望まれるあまり、お気持ちは、よく分かりますし、伝わってきますが、通院されていらっしゃるわけですから、先生のアドバイスを参考にされて、あとのことは、コウノトリにおまかせするというような感覚でいいのではないでしょうか?
あくまで、男性と女性が盛り上がった結果、新しい生命が育まれるのですから。
でないと、あの時に、こうしておくべきだったなんて、間違った後悔をしてしまうかもしれません。