特に、年齢によって、妊娠するまでに時間がかかる場合には、尚更のことと思います。
そのためには、信頼できるドクターに診てもらう必要がありますが、それは、高い技術レベルを備えていることや相性は、もちろんのこと、それぞれの患者に最適な治療方針や治療法を見極め、提案してくれるということも大切な要件だと思います。
また、不妊治療は、ストレスのかからない治療環境を求めることも大切なことです。
妊娠に悪影響を及ぼさないとも限らないからです。
にもかかわらず、 ドクターとのコミュニケーションがストレスになってしまっていては、本末転倒と言っても、決して過言ではないと思います。
このような観点から考えると、転院を検討してみるというお考えは悪くないと思います。
次に、AMH(アンチミュラリアンホルモン)値について。
ご存知のことと思いますが、女性は、常に新たな精子を作り続けている男性とは違い、生まれた時に全ての卵子が卵巣に存在し、新たにつくられることはなく、年齢とともに、卵子も年をとるだけでなく、どんどん減っていきます。
これが、年齢とともに、妊娠しづらくなり、反対に流産の確率が高くなってしまう根本原因です。
因みに、日本産婦人科学会が公表している全国統計の最新データでは、44歳の高度生殖補助医療による妊娠率は治療周期あたり3.0%、移植あたり6.9%、それに対して、流産率は66.8%にもなってしまいます。
さて、卵巣にどれくらいの卵子が残っているのかの目安になるのが、AMHやFSHです。
ただし、残っている卵子の数を間接的に反映しているだけで、妊娠できるかどうかの目安にはなりません。
妊娠できるかどうかは卵子の"数"ではなく"質"で決まるからです。
年齢が高くなって、AMHが低くなり、すなわち、卵巣に残っている卵子の数が減ってきても、質のいい卵子、すなわち、妊娠できるだけの生命力が備わった卵子残っていて、運よくその卵子が生育し、排卵すれば、妊娠することができるというわけです。
ただ、どれくらい質のよい卵子が残っているのかを調べる方法はありませんし、質のよい卵子が、生育し、排卵されるようにコントロールすることも出来ません。
ここだけは、「運次第」ということになります。
また、AMHは、FSHほどではありませんが、多少の変動はあるものです。
最後に、これまで、自然妊娠されていらっしゃるという経緯から、卵子と精子が出会えてないことはないと考えられますので、必ずしも、肉体的にも精神的にも、そして、経済的にも負担の大きい体外受精でないと妊娠できないというわけではないと思われます。妊娠できるかどうかは、前述の通り、生命力のある卵子が排卵されるかどうかですので、自然妊娠でも、確率はそれほど変わらないと考えてよいと思います。
ですから、体外受精にこだわる必要はさほどなく、治療を受けない周期でも、夫婦生活を持ったり、比較的負担のかからない人工授精を受けて、全ての排卵の機会を大切にすべきだと思います。