ご相談内容からは明確な原因はないようです。
そして、胚盤胞まで培養できなかったため、その後の治療では3日目の胚を移植することによって、培養室よりも母親になる女性のお腹の中という本来の培養環境で、胚が生育することを目指されたのだと思います。
さて、受精卵の生育が途中でストップしてしまい妊娠に至らないのには2通りあります。
それは、何か問題があって、受精卵の生育が止まってしまうのか、あるいは、何の問題もないのに、受精卵の生育が止まってしまうのか、いずれかでです。
もしも、前者であれば、問題に対して治療を施したり、対策を講じる必要がありますが、もしも、後者であれば、染色体異常のような受精卵側の問題であると考えられ、治療や予防は不可能ですし、その必要もないということになります。
現実には後者が圧倒的に多いようです。
つまり、妊娠の成立は染色体異常などの問題のない、妊娠するだけの力が備わった卵子を採卵できるかどうかにかかっているということになります。
そして、悲しいかな、30代後半以降はそのような卵子が巡ってくる頻度が大変低くなってしまいます。
これが、妊娠するまでに時間がかかる根本原因です。
また、何回目の採卵で巡り合うことが出来るのは誰にも分かりません。
"運"次第と言わざるを得ないわけです。
それでは、今後の妊娠の可能性を出来るだけ高めるために、何をすべきなのでしょうか?
また、何が出来るのでしょうか?
まずは、最適な卵巣刺激法を採用して、最適な(出来るだけ多くの)数の卵子を採卵することで、妊娠するだけの力を備えた卵子に出会う確率を高めることです。
最近では、AMH(アンチミューラリアンホルモン)値を測定し、最適な卵巣刺激法を選択するドクターが増えています。
そして、高い技術レベルで培養することです。
上記は、医療技術の問題ですから、もしも、これまでの治療結果に関する説明やそれに基づいた今後の治療方針について、納得の行く説明や答えが得られなければ、転院も検討すべきということです。
また、卵管の機能やご主人の精子に問題がなければ、自然妊娠の可能性もあると思います。
質の良い卵子が排卵された機会を無駄にしないためにも、治療をお休みしている周期でも夫婦生活を多く持ったり、人工授精を受けることも大切だと思います。
一方、セルフケアで取り組めることとしては、質の良い卵子が選ばれた時には健全に生育するように、たとえば、生殖器官への血流をよくして、卵胞への酸素や栄養素の供給、老廃物の排泄をスムースにすることです。そのためには、ウォーキングのような運動や出来るだけ身体をあたためることが大切です。
また、意外に思われるかもしれませんが、早く寝て早く起き、規則正しい生活リズムもとても大切です。
さらに、卵胞液中の酸化ストレスを低くしたり、基礎的な栄養バランスを整えるために、バランスのよい食生活を心掛けること、サプリメントで補充するのであれば、基礎的な栄養素であるマルチビタミンミネラル、生殖細胞のエネルギー産生効率を高めるのに不可欠な、コエンザイムQ10やL‐カルニチン、αリポ酸などが、理論的には適切な選択になると思います。
あとは、ストレスをマネージメントすることでしょうか。
うまくいくことをお祈りしています。