これは周期当たりの妊娠率が20%くらいなので、避妊しなければ2年で90%のカップルが妊娠に至ると考えらることから定義されています。
要するに、何の問題もなくても、1年以上授からないということが確率的にはあり得るわけです。
"早く妊娠したい"という気持ちとは裏腹に、そもそも、人間という生き物は私たちが想像している以上に妊娠しづらいと言えるのかもしれません。
周囲の妊娠報告を聞かされると、どうしても心穏やかではいられないとは思いますが、大前提として、何をもって、妊娠しやすい、妊娠しづらいを判断すればいいのか、まずは、客観的に認識しておきたいものです。
さて、不妊治療を受けようとするカップルには2つのグループがあります。
1つは、不妊原因が明らかで、治療を受けなければ妊娠が望めないというグループです。
両側の卵管が閉塞している場合や自力では排卵がない場合、男性の精液中に精子が全くいない場合です。
それらのケースではどんな治療を進めていけばいいのか明確です。
もう1つは、絶対的な不妊原因はないものの、妊娠しづらいというケースです。
たとえば、排卵しづらいとか、精子の数が少ないというような場合です。
このようなケースでは、まずは、妊娠しづらくさせているのではと考えられるものに対して治療が行われるますが、そのことによって必ずしも妊娠できるとは限りません。
それは、確率的に妊娠しないだけなのか、もしくは、それまでの検査では発見できない原因が潜んでいるのか、いずれかなのですが確定的なことは分かりまん。
なぜなら、現時点での医療ではすべての不妊原因を突き止めることは出来ないからです。
ですから、あまり、"なぜ妊娠できないのか"ということを追求し過ぎるのは、お気持ちはよく分かりますが、非現実的で、ストレスを大きくするだけになってしまいかねません。
そして、不妊治療を受けているカップルのほとんどはこのようなケースです。
それでは、このような場合には、どのような考え方で治療を進めていけばいいのでしょうか。
それは、妊娠しづらくさせているものに対しての治療と並行して、治療を徐々に高度なものにステップアップしていきます。
具体的には6~8ヶ月のタイミング指導で妊娠に至らばければ、6~8回くらいの人工授精にチャレンジします。
そして、それでも授からなければ、より精度の高い検査(腹腔鏡検査)を受けるか、もしくは、体外受精のステップアップするというやり方です。
治療を高度化するというのは、具体的にはバイパスする範囲を拡げていくこと、言い替えれば医療行為によって卵子と精子をより確実に出会わせるということで、より妊娠の確率を高めたり、それまで見つけることが出来なかった原因をクリアして妊娠を目指すということです。
また、人工授精ですは、フーナーテストが良好なケースでも、それによって妊娠の確率は高まりますからとても意味のある治療です。
最後に、治療を進めながらも生活習慣を改善することで、妊娠しやすい体質をつくることも一方では大切なことです。
ただし、その場合、漠然と"妊娠によい"とか、"不妊に効く"などと噂されているものばかりを摂るよりも、5大栄養素をバランスよく食べることのほうが大切です。