卵巣機能、子宮状態、血液検査など、一度低下したものは、若返ることができないのと等しく、もう良くなることはないのでしょうか?
36〜39歳
Questionご質問・ご相談内容
卵巣機能、子宮状態、血液検査など、一度低下したものは、若返ることができないのと等しく、もう良くなることはないのでしょうか?
こんにちは。宜しくお願いいたします。
現在 36 歳の主婦です(不妊治療機関へ通うため 1 年前に派遣社員としての事務の仕事を辞職)。32 歳から妊娠を希望しておりますが子どもを授かることができません。タイミングを取り、2 年妊娠しなかったので現在は某クリニックで体外受精を 3 度試みましたがだめでした(1、3度目着床せず、2 度目 8 週目で稽留流産)。
現在通っている病院で体外受精を受ける為に、通院するほぼ毎回血液検査を受けます。このことにより E2 値がわかります。E2 値が 1 年前は平均的だったのですが、加齢のせいなのでしょうか、排卵期での平均的な数値よりかなり高いことがわかりました。また、移植前に子宮内膜を厚くするお薬を処方されてもなかなか厚くなってこない。これも 1 度目の体外受精のときにはなかったのですがだんだん、体が言うことをきかなくなってきているようです。自分の個人的には加齢によるものかな、と思っています。また、排卵のときも卵子の大きさ・質(グレード)ともに、1 度目より 3 度目の方が低下しています。
これら卵巣機能、子宮状態、血液検査など、一度低下したものは、若返ることができないのと等しく、もう良くなることはないのでしょうか?
ちなみに 3 度目の体外受精は着床判定は出たものの β-HCG 値が低いことを告げられ、本日とうとう妊娠判定で陰性であることがわかりました。
着床障害、不育症の可能性があるので専門の病院にかかることにしましたが、そもそもの採卵時の卵子の質を上げるとか、子宮環境をよくするということはやっても無駄なことなのでしょうか?
お名前:まお 性別:女性 年齢:36
結婚歴:7年 不妊期間:4 年 0 ヶ月 不妊治療期間:2 年 6 ヶ月
これまでに受けた検査:ホルモン検査、精液検査(ご主人)、子宮卵管造影、子宮内膜検査 これまでに受けた治療:タイミング指導、ホルモン療法(クロミフェン等の薬の服用)、ホルモン療法(HMG・HCG等の注射)、IVF(体外受精)、ICSI(顕微授精)
Answer【回 答】春木レディースクリニック 院長 春木 篤 先生
子宮内膜が薄くなっているのは抗エストロゲン製剤の影響であるかもしれません。また、質の低下は、加齢の影響も否定できませんが、誘発法を検討された方がいいのかもしれません。
ご質問の内容からすると、3 度目の妊娠結果は化学的流産だと考えられます。2 度目の流産の原因は不明ですが、一般的な不育症検査(抗リン脂質抗体症候群、甲状腺機能検査)は受けられた方が良いでしょう。
さて、E2値(女性ホルモン)に関してですが、誘発する方法によって変動します。抗エストロゲン製剤のクロミッド、セキソビッドを内服すれば、完全自然周期よりも E2 値は高くなります。また、アロマターゼインヒビター(レトロゾール、フェマーラ)を内服していれば、E2 は低い値となります。
一般的に加齢の影響があるとすれば E2 値のピークは低くなる傾向があり、これが子宮内膜の菲薄化や月経量の減少につながります。子宮内膜が薄くなっているのは、流産手術の影響が一番考えられますが、もしも移植周期に抗エストロゲン製剤を使用されているのであれば(通常は服用することはありませんが)、抗エストロゲン製剤の影響であることは否めないでしょう。
排卵の際の卵子の大きさ、これは卵胞径を指しているのだと思いますが、抗エストロゲン製剤を服用していると一般的に排卵時の卵胞径は大きくなる傾向があり、24 - 26 ㎜で排卵することが多いので、関係があるかもしれません。
質の低下は、加齢の影響も否定できませんが、誘発法を検討された方がいいのかもしれません。
まずはご自分の卵巣機能や、下垂体ホルモンの特性、多嚢胞性卵巣症候群の有無、インスリン抵抗性の有無などを担当のドクターに質問され、ご自身で把握されることがとても重要だと考えます。その上で、適切な排卵誘発法や併用薬を検討されてはいかがでしょうか。