初めまして、心理士の小倉です。
ご相談内容は、ご主人がえりさんの不妊治療の辛さを理解してくれないこと、また、理解してくれないこともあって、えりさんに家事の負担があって、睡眠時間がとれていないこと、でよろしいでしょうか?
ポイントは、ご主人は不妊治療のことだけ、理解がないのでしょうか?それとも、えりさんのこと全般に理解がないのでしょうか?たとえば、お天気のいい週末には夫婦二人でえりさんは出かけたいけど、ご主人は週末は休む時間だからどんなに天気がよくても夕方まで寝ている、というようなことはありませんか?
あるいは、普段は仲がいいけれど、不妊治療になると、「好きにしていいよ」という返事や、治療で疲れていても食事が作れない、片付いていない、などがあると、「どうしてそんなことができないの?」という態度なのでしょうか?
もし、不妊治療の他のことでもえりさんを理解していない、と感じるのなら、まずは夫婦のコミュニケーションを見直さないといけないかもしれません。お子さんを望んでいるのなら、お子さんにとって幸せなことは両親の仲がいいことです。どんなに健康に生まれたお子さんでも、両親の関係がよくなければ、健全に成長することは難しいからです。
望ましい夫婦仲とはそれぞれの価値観などがありますので、正解は一つではありませんが、「伝えないと相手には伝わらない」ことは知っていただければと思います。えりさんが書いていらっしゃるように、不妊治療を理解してくれないのなら治療をやめる、という方法は、ご主人には何も伝わりません。えりさんはご主人に不妊治療の辛さを理解してもらいたいのに、えりさんが望むようには理解してもらっていないので、このままだとえりさんは二人の子供を授かろうとしているのに、まるで一人で戦っているようで、それはこれ以上耐えられないから治療はやめる、と言わなければ、ご主人には何も伝わらないのです。
できれば察してほしい、のですが、それは長年、お互いの気持ちを伝えあってやっとできるもので、まだ結婚されて3年くらいであれば、難しいものです。
一方、不妊治療のことになると、急にご主人の理解がなくなる、ということであれば、それはある意味いたしかたないことになります。不妊治療の構造上、女性の負担が9割になります。そのため、ご主人にすべてを理解してもらうには限界があります。ただ、不妊治療が辛いと思っている妻の話を聞くことはできると思います。実は男性は相談されたり、愚痴を言うと、それを解決しようと頑張ってくれます。でも女性は解決法やアドバイスが欲しいのではなく、ただ聞いてもらいたいのです。そうすることで、女性の気持ちの整理がついて、今後の不妊治療についてどう進んでいくのかを、決めていけるからです。
この男女の違いを女性側が知っているだけで、夫婦のコミュニケーションは少しうまくいくかもしれません。
最後に睡眠についてですが、睡眠が足りないと、判断力も落ちてしまい、それにともない、弱気になりがちです。不妊治療中は落ち込む要素がたくさんあるので、できれば睡眠時間は確保していただければ、と思います。不妊治療は一生続くものではありません、一時的なものです。そう思えば、家事が今日できなくても、明日やってもいいか、という気持ちになれると少し楽になれるかと思います。ただ、家事を終えないと落ち着かないのであれば、いっそ、睡眠時間が少なくてもいいか、と割り切ることもできます。勿論、ご主人が家事を手伝ってくだされば一番いいのかもしれません。そのためには上記したように、家事を手伝って、ときちんと言葉で伝えることが第一歩になるかと思います。