『妊娠しやすい食生活』原著者 ジョージ・E・チャヴァロ先生 インタビュー

「妊娠しやすい食生活」の日本での刊行にあわせて、
原著者のジョージ・E・チャバロ先生を
アメリカのボストンに訪ねました。
ちょうどアメリカ生殖医学会がボストンで開催中で、
インタビューだけでなく、学術集会での先生の発表も
お聞きすることが出来ました。チャバロ先生は、
ハーバード大学の関連病院での臨床試験や
大規模な疫学調査を実施し、食生活や生活習慣と
女性や男性の妊娠する力との関係について研究しています。

ジョージ・E・チャヴァロ博士
Jorge Chavarro, MD, ScD

ハーバード大学公衆衛生大学院栄養疫学准教授。
ハーバード・メディカルスクール准教授。
ボストン栄養・肥満リサーチセンター理事。
栄養学の観点から病気の要因研究を行う。
www.hsph.harvard.edu/jorge-chavarro

※インタビュー日:2013.10.15
(聞き手:細川忠宏[本著翻訳])

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栄養と生殖機能の関連研究のパイオニアとして

──この11月に「The Fertility Diet」を日本で翻訳出版することになりました。ハーバード大学の世界的に有名な「看護師健康調査」の研究成果を日本で紹介させてもらえるのはとても光栄です。

チャヴァロ先生:とても素晴らしいことです。私たちの仕事が日本語に翻訳され、活用されることになるのはとても嬉しく思います。また、細川さんが運営していらっしゃるサイト、「妊娠しやすいカラダづくり」を拝見しました。なにが書かれているのかわかりませんでしたが(笑)、サイトの情報量から、10年という長期に渡って続けてこられた細川さんの熱意は伝わります。とても立派な取り組みだと思います。

──ありがとうございます。とても嬉しく思います。本日はチャバロ先生にいろいろなお話をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

チャヴァロ先生:こちらこそ。

──チャバロ先生は、食生活やライフスタイルが妊娠しやすさに及ぼす影響について研究されていらっしゃいますが、なぜこの分野をご専門にされるようになったのでしょうか?

チャヴァロ先生:ほとんど偶然です(笑)。

──そうなんですか(笑)。

チャヴァロ先生:ええ。ハーバード大学のドクターコースでは、はじめは「栄養と乳がんの関連」について取り組もうと考えていました。ところが、そこでは「がん」は大変競争の激しい研究領域でして、私が興味をもった研究テーマは、既にたくさんの人が取り組んでいたのですね。

──メジャーな研究テーマであったと。

チャヴァロ先生:私は他の誰かのフォロワーになったり、他の誰かと同じことに取り組むことには興味をもてませんでした。未だ誰も取り組んでいないようなテーマに取り組みたいと考えていたのです。

──ご自分のオリジナリティを大切にしたいというお考えですね。

チャヴァロ先生:その通りです。そんな中で、私のボスであるウィレット教授、「The Fertility Diet(妊娠しやすい食生活)」の共著者でもあるのですが、彼が栄養と妊娠しやすさの関連をやってみないかと勧めてくれたのです。おそらく、私が医学生の時代に環境汚染と不妊症の関係を調査した2つの疫学研究に携わっていたからでしょう。その経験から食生活は妊娠する力に少なからず影響を及ぼしているのではないかと考えてはいました。

──なるほど。

チャヴァロ先生:そこで、まずは、このテーマについて過去の研究を調べてみると、食生活が妊娠する力に及ぼす影響についてのきちんとした研究はほとんどなされていないことがすぐにわかりました。ただし、妊娠する力を左右する要因として、栄養は大変重要であるということのヒントをたくさんみつけることが出来ました。要するに、それまで、食生活と妊娠しやすさについて、計画的に系統立てた研究がなされていなかったのです。

──大変重要なテーマであるにもかかわらず、それまで誰も本腰を入れて取り組んでこなかったというわけですね。

チャヴァロ先生:全くその通りです。このテーマこそ、私が取り組みたい、取り組むべきであると考え、現在に至っています。そして、この領域を専門にすることが出来たことに感謝しています。

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