体外受精に臨むカップルの飲酒量と治療成績の関係

妊孕性に影響する因子

2011年01月26日

Obetetrics & Gynecology

飲酒は体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼすことがアメリカで実施された試験で明らかになりました。

アメリカのハーバードメディカルスクールの研究チームは、飲酒と体外受精の治療成績の関係を調べるために、1994年から2003年の間にボストンに3つの不妊治療クリニックで体外受精を受けたカップルに治療開始時に、アルコールの摂取についてのアンケートを実施しました。

その結果、体外受精に臨む2,545組のカップルの内、41%の女性、58%の男性が週に1~6単位のアルコールを摂取しているとの回答がありました。

年齢や喫煙、肥満度、治療周期数などの影響を排除し、4,729周期の治療成績との関係を調べたところ、週に4単位以上のアルコールを摂取する女性は、4単位未満の女性に比べて、出産に至る確率が16%低く、女性も、男性も週に4単位以上のアルコールを摂取するカップルは、どちらも4単位未満しか飲まないカップルに比べて、出産に至る確率は21%低く、受精率が48%低いことが分かりました。

このことから、アルコール摂取はたとえ少量でも体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼすとしています。

コメント

アルコール1単位は、ビールで中瓶1本、日本酒で1合、ワインで3分の1本、ウィスキーの水割りでシングルであれば1杯、ダブルだと1杯、焼酎お湯割りで0.6合が目安です。

今回の研究結果によれば、世間で適量されている量(1日2単位まで)を下回る量でも治療成績に影響を及ぼすことになります。

女性にとっては、妊娠後は赤ちゃんのためにお酒は止めなければならないことは理解されていますが、妊娠前の飲酒については、その程度までならば安心して飲めるのか、判断が難しいところだと思いますが、少なくするに越したことはないようです。

また、女性だけでなく、男性の影響もあるようですので、男性もお酒の量を出来るだけ抑えるほうが妊娠に近づけると言えます。