妊娠を妨げる原因になるもの
プロセスで見る不妊の原因
妊娠を妨げる原因になるもの
なかなか妊娠しないのは、どこかに問題があるのかもしれません。
さまざまな原因があるものの、現在の科学・医学では、まだ解明されていない部分が多いのも現状です。
・卵子がうまく育たない
・排卵しない、排卵しにくい
卵子はホルモンの指令によって成長しますが、このホルモンの分泌量が少なかったり(卵巣機能不全)、卵巣が指令をうまく受け取れないと、卵子がうまく育ちません。過度のダイエットやストレスが原因になることも。
また、加齢とともに持って生まれた卵子(原始卵胞)の数が減り、卵子そのものも老化、卵巣の機能も衰えます。そのため年齢が高くなると、ちゃんと排卵される確率が落ちていきます。
排卵障害の8割を占めるとされるのが、卵子が育っているにもかかわらず、卵巣から飛び出すことができない「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」。超音波検査で見ると、卵巣にたくさんの卵胞が見えるのが特徴です。ホルモンバランスに異常があり、月経不順や無月経、毛深いといった症状があることも。太り気味、男性ホルモン値が高い、血糖値が高い人に比較的多く見られます。
他にも、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)というホルモンが過剰に分泌される「高プロラクチン血症」や、卵子が排卵されずに卵巣で黄体化してしまう「LUF(黄体化未破裂卵胞)」などでも排卵障害が起こることがありますが、多くは原因不明です。
・卵管が詰まっている、通りにくい、うまく働かない
・排卵した卵子をキャッチできない
卵管は精子の通り道であり、精子と卵子の受精の場、そして受精卵が子宮に到達するための移動通路です。その通路が詰まっている(卵管閉塞)、癒着などで狭くなっている(卵管狭窄)と、精子と卵子の出会いが妨げられます。左右の卵管とも閉塞していれば、自然妊娠はむずかしくなります。
卵巣から排卵された卵子は、卵管の先端部分(卵管采)にキャッチされて、卵管へと運ばれます。この働きがうまくいかないことを「ピックアップ障害」といいます。こうした卵管のトラブルは、子宮内膜症やクラミジア感染の癒着などによって引き起こされることがあります。
・子宮の入り口に問題
子宮の入り口である子宮頸管は、排卵時期になるとホルモンの影響で分泌液が増加、精子を受け入れやすい状態に変化します。
この分泌液が十分に分泌されないと、精子が子宮の中まで入りにくくなります。
また、女性の体に「抗精子抗体」があると、精子を異物とみなして子宮頸管でブロックしてしまいます。
・着床しにくい
子宮に筋腫やポリープがある場合、その位置や大きさなどによっては、受精卵の着床を妨げることがあります。
また、黄体ホルモンの分泌が足りない「黄体機能不全」では、子宮内膜が厚くならず、着床しにくくなることがあります。
・精子がうまくつくれない
精子の数が少ない(乏精子症)、元気がない(精子無力症)、奇形精子が多い(精子奇形症)、精液の中に精子が見あたらない(無精子症)などのトラブルも妊娠の妨げに。精子はさまざまなハードルを乗り越えて卵子にたどり着きますが、そのためには多数の元気な精子がいたほうが有利です。
ストレスや体調などで精子の状態が悪い場合もありますが、精子をつく機能(造精機能)に問題があるケースも。また、精液中に精子が全く見あたらない「無精子症」では、精子はつくられているものの通り道に問題があることが少なくありません。
→男性不妊
・セックスがうまくできない
十分に勃起しないED(勃起障害)や、勃起しても射精できない、腟内で射精できない(射精障害)などがあります。ストレスや不安など、心因性のことがほとんどです。
→男性不妊
・原因がわからない
さまざまな検査を受けて、特に原因が見つからないことは珍しくありません。だからといって原因がないとはいいきれず、現在の医学や検査では調べようがない、解明されていない原因が隠れているかもしれません。
しかし、原因不明だから妊娠できないということではなく、原因が特定されなくても、自然妊娠や治療により妊娠・出産しているカップルはたくさんいます。