性生活を見直す
妊娠の可能性を最大にする性生活
妊娠の可能性を最大にする性生活
妊娠するための基本は、セックスをすることです。夫婦間のコミュニケーションのためにも、ベッドで仲よくすること(セックス)が大切です。
ところが、セックス(性生活)について、一般的にオープンに語られることが少なく、間違った知識や誤解が氾濫しています。正しい情報を基に性生活を最適化して、妊娠の可能性を最大にしましょう。そのために妊娠に近づくためのセックスや周辺情報について紹介します。
回数を多くする
健康な若いカップルがベストなタイミングでセックスしても、その周期で妊娠する確率は20%程度です。妊娠は、ある意味"確率論"といえ、数を多くすれば確率は上がります。つまり「セックスの回数を増やすこと」が妊娠への近道になります。
ところが、結婚生活が長くなったり、不妊治療を受けるようになると、セックスの回数が少なくなる傾向があります。たとえば、病院でタイミング指導を受けるようになると、医師から指示された日にだけセックスをするようになったり、体外受精や顕微授精を受けるようになるとセックスの頻度が少なくなる傾向があります。(*1)
実は、「排卵日を予測してセックスをするタイミング法で妊娠の確率が高くなる」という証拠は、今のところありません。でも、「セックスの回数が多くなるほど妊娠の確率も高くなる」というデータは、たくさんあるのです。
自然な盛り上がりを大切にする
タイミング指導は、セックスの回数が減るだけでなく、セックスを義務化させてしまうこともあります。そして、「この日」と言われた男性がプレッシャーを感じて、勃起や射精ができなくなるケースも少なくありません。いわば、タイミングを合わせようとすることの副作用です。
ところが、タイミングをはからなくても、自然な欲求の盛り上がりを大切にすると、"結果として"タイミングが合うのです。なぜなら、女性の性欲は、妊娠しやすい時期に高まることがわかっているからです。実際にアメリカで実施された試験で、68人の女性に3カ月間セックスの記録を付けてもらったところ、「妊娠しやすい排卵時期にセックスの頻度が24%高かった」との報告があります。(*2)
タイミングをとろうと神経質になるよりも、自然な欲求にまかせるほうが、現実的に妊娠しやすいといえるのです。
月経周期から妊娠可能な期間を想定
タイミングにこだわるあまり、「その日だけ」のセックスになって回数が減ってしまったり、セックスそのものがうまくいかなくなると、かえって妊娠から遠ざかってしまうことになりかねません。あまりタイミングにとらわれずに、2〜3日に1回くらいのペースでセックスするのが理想的です。
でも、「そんなに頑張れない・・・」というカップルもいるでしょう。そんなカップルには、梅ヶ丘産婦人科院長・辰巳賢一先生が推奨している方法を紹介します。
月経周期は個人差がありますが、排卵から次の月経が始まるまでは、ほぼ14日です。そこで、2〜3カ月の月経周期を調べて、その中で一番短い周期と一番長い周期をピックアップします。
たとえば、それが28日と32日周期であれば、28日周期の場合はマイナス14日で排卵日は14日目、32日周期であれば排卵日は18日目だったと推測されます。
排卵の3日前から妊娠の確率は高まるので、次の周期では11~18日の間に、1日おきにセックスをしてみるのです。すると、常に精子が女性の体内でスタンバイしている状態になります。その間のどこかで排卵すれば、精子と卵子が出会えるという計算です。
月経周期を把握すれば簡単に計算できるので、試してみてはいかがでしょう。
(*1)不妊外来通院者における加齢及び性別によるセクシャリティの評価. 第10回日本抗加齢医学会総会, 京都, 2010/06
(*2)On the frequency of intercourse around ovulation: evidence for biological influences A.J. Wilcox, et al. Hum Reprod. 2004 Jun;19(7):1539-1543